『死霊』二(閑人亭日録)

  以下、七日の日録。

 埴谷雄高『死霊』を初めて読んだのは、『全集・現代文学の発見 第七巻 存在の探求 上』学藝書林 昭和四十二年十一月十五日 第一刷発行 でだった。その本はどこかへ行って、本棚にはきれいな状態の翌年の二月一日発行がある。挟み込みの小冊子は「1971年3月 出版案内」。第一刷の本はよく読んだ。ボロボロになったので買い替えたようだ。第一刷で埴谷雄高を知り、文学の魔界に惹き込まれた。目次から収録作品を記しておく。
《 梶井基次郎「桜に木の下には」「闇の絵巻」
  北條民雄いのちの初夜
  中島敦悟浄出世」「悟浄歎異」
  稲垣足穂「彌勒」
  椎名麟三「深夜の酒宴」
  埴谷雄高「死霊」
  武田泰淳ひかりごけ
    ※
  椎名麟三「スタヴローギンの現代性」
  埴谷雄高「存在と非在とのっぺらぼう」「夢について」
  「可能性の作家」「不可能性の作家」
  武田泰淳「滅亡について」

  高良留美子 「解説」 》

 どの作品もよく読んだ。本がボロボロになるわけだ。

 埴谷雄高『死霊』講談社一九七六年四月二十二日 第一刷発行を少し再読。