牧村慶子(閑人亭日録)

 昼過ぎ、沼津市でギャラリー・カサブランカを営んでいた勝呂女史が来訪。去年の夏に逝去された絵本画家牧村慶子さんの絵をデータベ-ス化するために、私のもっている二点を借りていかれる。勝呂さんは、去年から体調不良で仕事を休まれていた。まだ本調子ではないようだ。お互い服用している薬の副作用のことなど語り合う、というか同病(?)相憐れむ。歳だねえ(私は)。それにしても、水道水が不味くて、という薬の副作用に共感。そうかあ。最近やっと水がまともに感じられるようになった。家の水道管がどこかずれているのでは、と水道局に問い合わせようかと思っていた。電話しなくてよかった。とんだ恥をかくところだった。それにしても、味覚の変調はまことに困る。味覚の復調はとてもうれしい。なによりも不味くて飲まずにいたコーヒーが旨く感じられるようになった。嗅覚は弱いほうだが、それで困ることはない。視覚、味覚、触覚、聴覚は歳相応。歳といえば昼前、買い物からからふらふら帰ってきて自宅前で老年のご夫婦から挨拶された。この爺さん、誰かなあと訝しく思ったが、ハタと気づいた。数年来顔を合わせたことのない幼馴染の同級生と奥さん。ビックリしたあ。八十歳は優に超えていいるように見えた。なんといっても前歯が派手に欠けている・・・十年以上前だったか。彼は当時流行り始めた(?)歯のインプラントをした。「これで十年はもつ」と白い歯を自慢げに見せた。私は流行りものには手を出さない性格で、ふうん、と聞き流していた。あれから十年余。前歯が無いとは・・・。今のところ、硬いものを普通にガシガシ齧られる。歯が命。噛んでも噛んでも味がしないのは困りものだが、噛めないのはさらに困る。味覚が戻ってきてやれやれ。夕食後、勝呂さんから手土産にいただいた「いちご大福」を賞味。見たことはあるが、食べるのはこれが初めて。美味しい。いちごのほのかな酸味と皮のやわらかい甘みがうまく溶け合っている。売れるはずだ。