瘋癲老人日記

 小林信彦「<超>読書法」文春文庫276頁。
伊藤整が谷崎論の中で、
 <我々が幸福と思っているものは索漠たる不毛の人生であり、我々が頽廃と思っていることの中に人の生きる意義があるのではないか?>」
 と述べたあのテーマだ。」

 「<超>読書法」文春文庫84頁。
「<純文学>と<エンタテインメント>の二元論の怪しさについては、『小説世界のロビンソン』にくわしく書いた。」

 「小説世界のロビンソン」新潮社223頁。
「この人たち(作家・批評家・編集者)に共通するのは、物語ぎらいということである。<人間が描けている>とか<深い文学性>といった、きわめてあいまいな基準で、物語を徹底的に排除してきた。少しでも<面白い物語>だと。彼らは不安になる。」
「<物語>とは、原則的にいえば、小説の方法の軌跡または結果である。作家は、読者に伝達したいと願う思いがうまく届くように、身につけたテクニックを駆使して、物語を創りあげる。」

 「小説世界のロビンソン」新潮社224頁。
 「物語作家は、当然日本では孤独であり、谷崎潤一郎でさえ、数人の理論的支持者(たとえば伊藤整三島由紀夫)しか得られなかった。晩年の名作『瘋癲老人日記』は、フット・フェティシズムを、サスペンス技法によって最高の物語に仕上げたものだが、」

 ブックオフ長泉店で谷崎潤一郎「鍵・瘋癲老人日記」新潮文庫2001年44刷改版、ジェフ・アボット「図書館の親子」ハヤカワ文庫1998年初版、計210円。前者は旧版より活字が大きいため、100ペ頁ほどの増頁に。

 沼津信用金庫の方が来館。安藤信哉作品の貸し出しについて。