昨日の小森収・編『ベスト・ミステリ論18』宝島社新書を読んで、そこで紹介されている 谷崎潤一郎『途上』、パトリック・クウェンティン『わが子は殺人者』、ジョー・ゴアス 『ハメット』を読もうかと本を見たが、どうもその気にならず、本棚を流して薄い本、中村真一郎 『俳句のたのしみ』新潮文庫1996年初版に落ち着いた。江戸中期の俳句と夏目漱石から室生犀星までの 文人俳句が主な内容。江戸俳句は「俳句ロココ風」と題する一章。
《 好き嫌いから言えば、私は近代俳句より、これらの十八世紀の小詩人たちの可愛い句の方が、 遥かに感受性になじみやすいし、嬉しい気がする。 》 33頁
《 しかしいつの時代でも、人気作家というのは、その時代の芸術価値の最高の人物ではなく、 通俗的趣向に投じたものがなるのかも知れない。 》 43頁
《 一度読んで驚けば、二度目からはつまらなくなる句である。 》 44頁
《 しかし、実作においては、平明を目指して平俗に堕していることが多く、結局、 詩は別才であって、努力や良き意図だけではいかんともしがたいという感慨を抱かせられる。 》 52頁
《 うまいのである。しかし、作者の実感が、句作のプロセスで、新鮮さを失ってしまっている。 》 64頁
感想のほうが俳句よりも面白い。美術作品にそっくり援用できる。まあ、一句を。
《 短夜や空とわかるゝ海の色 高井几董(きとう) 》 74頁
「文士と俳句」の章からは初見の俳句を。
《 別るゝや夢一筋の天の川 夏目漱石 》 104頁
《 雲の峰石伐(き)る斧の光かな 泉鏡花 》 113頁
《 椿落つ妬心の闇の深さかな 久保田万太郎 》 152頁
画家の福山知佐子さんから一九八一年に亡くなった洋画家池田淑人の作品の消息を訊かれる。 美術評論家坂崎乙郎の薫陶を受けた知人が多くを持っていて、随分前に見せてもらった。 彼に電話すると、保管してあると。やれやれ。いい作品はどこかにひっそりと保管されている。
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ネットの見聞。
《 「××さん、なんで(講談社)文芸文庫は下からヤケちゃうんですか?」
おれ「ちっ・がー・う!」 》 T屈男
https://twitter.com/taikutumasa
表紙を見ればわかる。
ネットの拾いもの。