8月25日(月) 休館日

 安藤元雄「新版 ふらんす詩の散歩道」白水社1996年、「新版のはしがき」に、
「とりわけボードレールの『夕暮れのハーモニー』は全面的に改訳した。」
 とある。昨日引用したのは、集英社版「世界文学全集」1981年からのもの。で、この改訳から二行を。

  ごらん いま その時がく来る 茎の先に身をふるわせて
  花それぞれが煙とくゆる吊り香炉。

 安藤元雄はこの詩から演繹して興味深いことを書いている。
「作品としての詩は、だから二重の構造を持っていると言えます。一つの行がそれ自体として成立しなければならず、その行を含む作品全体がこれまたそれ自体として成立していなければならない。しかも、作品はそれらの行の単なる集合体ではなくて、作品のほうからそれらの行の一つ一つを照り返すものでなければなりません。」

 これは絵画にも通じることだと思う。描写・表現されたものと、描写行為・表現行為……。混乱しそうなので今は回避。