福島泰樹、人を詠う

 昨夕、帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。秋庭俊「帝都東京・隠された地下網の秘密」新潮文庫2006年初版、エドワード・D・ホック「サム・ホーソ−ンの事件簿V」創元推理文庫2007年初版、計210円。

 昨日取り上げた高野公彦・編「現代の短歌」講談社学術文庫はまことに便利な選集だ。しかし、不満(瑕瑾)がある。解説では福島泰樹バリケード一九六六年二月」に触れられているが、この選集105人に彼は入っていない。彼には人を詠った短歌がたくさんある。一部引用。

  ゴーカート皮ジャンマンボ薮睨み赤木圭一郎という男は

  赤ん坊の中原中也たこ八郎 泣き悲しみを播き散らすのだ

  田宮二郎天地茂や花吹雪 昭和四十一年四月

  磨赤児福島泰樹たこ八郎 坊主頭に夜は更けてゆく

  たこ八郎夏目雅子や第三の男 怪傑黒頭巾死す

  彗星のようにあらわれ消えてゆく夏目雅子も妖精ならん

  あおぞらにトレンチコート羽撃けよ寺山修司さびしきかもめ

 昨日は冷たい風が吹き荒れた。きょうは抜けるような冬天。でも穏やか。K美術館は女性たちで和やかで賑やか。きのうもきょうも美しい夕暮れ。