冬至/本の山
 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。中上健次「野生の火炎樹」ちくま文庫1993年初版、三戸祐子定刻発車新潮文庫2005年初版、計210円。後者にはレシートが挟まっていた。「丸善丸の内本店2005年6月5日(日)17:17」。

 ジョン・スラデック「見えないグリーン」ハヤカワ文庫読了。最後の殺人トリック解明の場面で、あ、これ読んだことがあると気づいた。なんというお粗末な記憶力だこと。でも、面白かったからよし。鮎川哲也は解説で書いている。

「上質のユーモアが各所にちりばめられていることもスタデックの小説を読むことのよろこびの一つだろう。」

 今回読んで特に愉快だったのは11章。探偵のアパート。

「ほとんどありったけの家具と床のスペースの大半に本とメモの束が山積みになっているのだ。それぞれの山の並び方さえも重要で、間に合わせの文書整理システムをなしているのだ。」

 以下の描写には苦笑してしまった。何処も同じ。分け入っても分け入っても本の山。

 きょうの朝日新聞に特集「種村季弘 は終わらない」。種村氏は蔵書目録を作るな、と遺言したと聞いている。あの書庫の壮大な蔵書。神谷町時代からの種村氏との交流の思い出は尽きない。