2月 8日(月) 休館日

 畸人研究学会「定本 畸人研究Z」ちくま文庫2004 年初版、読み出すと止まらなくなった。登場する畸人たちがじつに魅力的だけれど、文章もそれに輪をかけて愉快。講談師田辺一鶴の古本屋を訪れようとJR平井駅で下車。

≪どうやらこのあたりは畸人密集地域らしい。駅前の交番で道を聞くと、商店街の途中で曲がってすぐとのことだった。実に弛緩しきった駅前商店街を途中で曲がり、しばらく行くと確かに「イッカク書店」があった。(引用者:略)少しがっかりしたのだが、奥に進むと私の失望はふっとんだ。そこには桃源郷が広がっていたのだ!≫115頁

 こういう文章の流れは好きだなあ。

≪相変わらずステキな馬場画伯とは対照的に、九七年に新装相成った京都駅は噂以上のひどさで、自分が日本のどこにいるのかわからなくなるが、時間的には日本のバブル時代にいることだけは強く確信できるようなデカいばかりのゴミ建築物だった。≫465頁

 京都駅へ行きたくなった。

≪精神科の病院も、当然だけど、スゴい人がいっぱいいるらしいです。知り合いの病院には、天皇が四名いて、そこの医者が天皇座談会をやったらしいんですけど、会話にならなかったらしいです。みんな「おれが本物だ!」と主張したから(笑)。医者も性格悪くて、テレビに出ている天皇はあれはなんだと尋ねたら、「あれは替え玉だ。そろそろおれが社会復帰して正当な天皇に戻らねばならない」と言っているらしいです。≫332-333頁

 以前、今は日展評議員をしている彫刻家から「偉大なる変人」と評されたけど、畸人のほうが嬉しいかな。