布地につりたくにこさんの絵を大きく描いた友だちから、暖簾じゃあないよ、と言われる。検討の結果、これは「シンボル・クロース( symbol cloth )」と呼ぶことにする。多分、新造語だ。
昨日取り上げた塚本邦雄歌集『青き菊の主題』1973年から。歌の背景はどうであれ、私の心にずしんと響いた短歌。
≪逭き菊の主題をおきて待つわれにかへり來よ海の底まで秋 ≫
「かへり來よ海の底まで秋」。胸底までえぐれるような痛切な第一印象だった。
『ちくま日本文学全集 中島敦』初刊1992年で『悟浄出世』『悟浄歎異』を久しぶりに再読。前者から。
≪躊躇する前に試みよう。結果の成否は考えずに、ただ、試みるために全力を挙げて試みよう。決定的な失敗に帰したっていいのだ。≫
後者から。
≪遠方から眺めて感嘆しているだけでは何にもならない。≫
ほかにも引用したくなる箇所がいくつもあり、若いときには気づかなかった深い洞察が散りばめられている。『文字禍』でボルヘスを引き合いに出す池澤夏樹の解説は正鵠を射ている。河出書房で「世界の文学」全集ではなく「世界文学」全集を編纂するだけのことはある。
伊豆長岡温泉のいづみ荘ブログで紹介された。