完全殺人事件

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で四冊。いしかわじゅん漫画ノート』バジリコ2008年2刷帯付、嶽本野ばら『おろち』小学館2008年初版帯付、永井荷風『摘録 断腸亭日乗(上・下)』岩波文庫1993年12刷、15刷、計420円。下巻のほうが刷数が多いとは面白い。

《 石川淳ではなく、いしかわじゅん、である。

  一方は昭和の文豪であり、今回とりあげる一方は現代に生きるギャグ漫画家である。》

 どっちも文章が面白いわ。

 お昼までグラウンドワーク三島の研修生たち20人ほどの案内。午後一時過ぎ開館。

 クリストファ・ブッシュ『完全殺人事件』創元推理文庫1998年44版を読んだ。1929年の発表。殺人容疑者には鉄壁のアリバイがあった。そのアリバイをどうやって崩すか。地道な捜査が続く。鮎川哲也と同様、地道だからといって退屈ではない。最後まで読ませる。

《 この男は、警察当局には犯人逮捕の見込みはまったくありえないという断定的な言葉を、万人のまえで見せびらかしている。なぜか。それは、その男が、だれひとり可能だとは思えないことをやれる方法を発見したからだ。》229頁

 中島河太郎の解説から。

《 戦前クロフツの名作「樽」が紹介されて、その堅牢な構成を喜んだ読者は、続いて輸入されたクリストファ・ブッシュの「完全殺人事件」に堪能させられたなつかしい思い出がある。》

《 「樽」にまさるとも劣らない本編は、ヘイクラフト、クイーン、サンドゥらの名作表に見当たらないし、第一、ブッシュの作品がまったく採り上げられていない。》

 なぜだろう。

 ネットの見つけもの。

《 昨今のデフレは古書に止まらず、原稿や尺牘にまで至っていると聞く。明治古典界で二百万円の値がついた某作家の原稿が三十万円とか。》