蓬莱洞の研究

 田中啓文『蓬莱洞の研究』講談社ノベルス2002年初版を読んだ。自室で読んで正解。不意に襲う爆笑また爆笑。美味しいチョコレートを口にしてなくてよかった。吹いてたわ。「1」の冒頭。

《まず、大盛りカレーライス(味が薄くて超まずい)。これでもかとばかりにカレールーのかけられたてんこもりの飯がスプーンで突き崩され、雪崩のように口に吸い込まれていく。 》

 みごとなつかみだ。このページのおしまい。

《 しかも、彼女は、二時間目と三時間目の間の休憩時間に、早弁で、家から持参した弁当を食べている。それも、いわゆるドカベンという、縦横高さがほぼ同じの立方体みたいな馬鹿でかいやつにご飯をぎっしり詰めたものだ。 》

 ギャル曽根も真っ青だね。この一ページで本書の期待はいやがうえにも高まる。めくったページに彼女の紹介。

《 諸星比夏留(もろぼし・ひかる)はここ私立田中喜八(でんなか・きはち)学園高等学校の新入生だ。背は百五十五センチと低く、胸も薄く、華奢な体躯である。 》

 期待通りに駄洒落の乱れ打ち、怒涛流コーヒー。冗談に大法螺、ホラー上等の伝奇小説。いやあ、じつに愉快、いい一日だった。

 東京の@btfというギャラリーで起こった根本敬作品の撤収。経過を読むと、いやだなあ、という気分。行ったことはないけど、行くこともないな。

 ネットの見聞。

《 「首尾一貫した自己、統合された自己」なるものは近代の発明であり、もともと人間は複数の声が内部に輻輳する「分心」の状態にある。 》

《 意識は分裂しているのが常態なのである。それを無理やり統合し、足元のおぼつかない「一貫した自己」なるものを立て、その擬制に基づいて社会制度を設計したせいで、さまざまな対立や暴力や収奪が起きた。 》 内田樹

 ネットの拾いもの。

《 ヘルメットは事故防止の帽子。 》

《 某公園で膀胱炎になった。 》 田中啓文