望郷

 暑くならないうちにブックオフ沼津南店へ自転車で行く。柄刀一『黄昏たゆたい美術館』実業之日本社2008年初版、矢崎存美『ぶたぶたカフェ』光文社文庫2012年初版、柳澤桂子『われわれはなぜ死ぬのか  死の生命科学ちくま文庫2010年初版、計315円。ギャラリー・カサブランカへ寄り、帰宅。

 寺山修司没後三十年で人気再び、とか。彼が高く評価した語り女・松田晴世にお供して、紀伊国屋ホールなどで寺山修司に会っている。亡くなる半年前に出た『寺山修司全歌集」沖積舎1982年のサイン本は、まだ手元にある。往時茫々、関係者は皆鬼籍に入ってしまった。

 昨日ふれた福島泰樹、彼の歌集『望郷』思潮社1984年初版。帯に「寺山修司1周忌追悼」「死者になり代って歌い上げた寺山修司その人の自叙傳」。

《  逆さまにギター吊られて黄昏る帰りなんわが心の旅路

   一メートル四方国家の幻想を求めて飛べぬ人力飛行

   血がつめたい鉄路ならばや汽車はいつか俺の心臓までも来たらん

   暗きわが少年の日よ 雨降れど長距離ランナー父帰還せず

   憎らしき寺山修司 笑み浮かべわたしの連れを揶揄しておった

   チエホフ祭まことたのしきあの頃は夏でも外套まといおりしよ

   祖国それは身捨つるほどに霧深き海、茫漠の雲赴くところ

   あおぞらにトレンチコート羽撃けよ寺山修司さびしきかもめ  》

 三十年、この本も汚れてヨレヨレになるはずだ。望郷。森進一『望郷』EP盤レコードをかける。むせび泣く歌声、怒涛のテナー・サックス。昭和歌謡ど真ん中。昨日の『髑髏となってもかまわない』で山折哲雄は森進一『北の螢』のことを書いている。

《 その旋律は、それまでも何度か私のからだのなかをつらぬいて響きわたっていたのだが、そのときは思わず聞耳を立て、全身を硬直させていたような気がする。 》 67頁

《 この詞は阿久悠氏が書いたものだが、その原稿を手渡したとき、作曲の三木たかし氏は体を震わせて興奮したという。 》 68頁

 毎日新聞朝刊、トップニュース「原発輸出:国民負担に直結 国のリスク不十分な説明 」。

《 原発事故から2年超を経てなお約15万人が避難する現状に照らせば、無責任な輸出は到底許されない。 》

 ネットの見聞。

《 スイカ履歴 使用拒否9400件 》

 西瓜の生産〜流通の記録拒否かと思ったら、JR東日本のIC乗車券Suica(スイカ)による乗降履歴のことだった。ここはJR東海。沼津からの帰り道、炎天下、交叉点ではリュックを背負った多くの年配者。JR東海のさわやかウォーキング、二時間四十分歩く人たちだ。さわやか……。

 ネットの拾いもの。

《 ♪ カストロ一番 電話は二番   ♪ ゲバラ 焼肉のタレ  ♪ ゴルビーのカッパえびせん 》