「すっぴんは事件か?」「初期歌謡集」

 新聞には都知事選とソチ・オリンピックの記事、広告。殿ご乱心VS.悪代官。そちも悪じゃのう。

 姫野カオルコ『昭和の犬』幻冬舎直木賞。これは嬉しい。遅すぎたくらいだ。本棚には文庫だけで三十冊あるが、祝してエッセイ集『すっぴんは事件か?』ちくま文庫2012年初版を読んだ。文芸評論家斎藤美奈子と通じるものごとの捉えかた。斎藤美奈子はバッタバッタと豪快に切りまくり、姫野カオルコはちょっと斜に構えてなで切り、かな。どちらも読後爽快。

 第一章は「いつも危険日」。小項目は「男と女はアソコが違う」「エロ本の男女差」「バスト! バスト! バスト!」など。第二章「媚れ!」の小項目は「だからあなたもヤリ抜いて」「ホンモノの小悪魔」など。お題から期待される内容とはちょっと異なるが、そういやあそうだ、という眼から鱗のことばかり。愉快でタメになります、ハイ。「バスト! バスト! バスト!」、我が身を振り返り、だよなあと思い当たること数珠玉の如し。例文を引くのはやめた。どれも全文を読まないと、その盲点を突いた意外な面白さの技はわからない。

 これではあまりに不親切、と反省。「男と女はアソコが違う」は「鼻くそ」、雑誌の「付録」が題目。「バスト! バスト! バスト!」から。

《 乳房というこの字のつらがまえは、読者の昂奮にさーっと水をかけないか? 》

《 「てめえ、ひっこんでろよ」
   と、私などは「乳房」に向かってつい叫んでしまうほどである。 》

《 そのうえ、だ。この部位を隠している衣装を指す語彙がまた、ひどい代物なんだ。
  ブラジャーだよ、ブラジャー。 》

 VHSビデオテープは順次処分していき、数巻になったけれど、録音した音楽テープ二百巻はそのまま残している。分散しているそれを眺めていたら、美空ひばりの『JAZZ&STANDARDS』のテープが目に留まった。1955年から1966年の録音のようだ。久しぶりに聴いてみた。「A列車で行こう」は英語、続く「ダニー・ボーイ」は日本語。続く「愛さないなら棄てて」は日本語。これはアニタ・オディの超スピードの名唱( LOVE ME OR LEAVE NE )があるが、ひばりはゆっくりと歌う。デビュー当時の歌唱には舌を巻いたが、これは声質がけっこう落ち着いていて、ポップス寄りののびやかな開放感がある。上手いわ。CDはまだ現役のようだ。
 http://blogs.yahoo.co.jp/jinne_lou/49205585.html

 『初期歌謡集』もあったので聴く。「河童ブギウギ」「悲しき口笛」から「ひばりの花売娘」「銀ブラ娘」まで十九曲。当然子供の声だが天賦のひらめき、天性のきらめきがある。聴き入ってしまう。脱帽。最初に頂点を極めてしまった……。

 ネットの見聞。

《 1月17日は「おむすびの日」。阪神淡路大震災時に炊出しとして「おむすび」が出された事から始まりました。 》

 あの日、朝の仕事を終えテレビをつけて仰天。街が燃えている。

《 単線的な人間観、絞れば思った通りの搾り汁が出ると信じているような指導者は、ほとんど必ず「それは教育の問題だ。教育を変えれば日本は変る」と言い出すことになる。 》 平川克美

《 「アベミリタリズム」 》