始まりの『内田魯庵山脈』

 午後、昨日のブログの養魚場跡の湧き水を友だちの希望で案内。ガンガン噴き出す湧水を彼女はアイフォンでカシャ。 私は「写ルンです」でカシャ。昨日撮るのを忘れていた。整備されればこの廃屋は無くなる。今しか見られない風景。 喜んでもらえてやれやれ。

 山口昌男内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』晶文社2001年初版を読み始める。前ニ著、『「挫折」の昭和史』 『「敗者」の精神史』同様二段組。第三作は前ニ著を凌駕する六百頁にならんとする大著。腰を据えてじっくりと味わう。 気長に読むので、いつ読了するかは予想がつかない。それにしても浩瀚な三部作を読むのはもっと先と思っていた。

《 我々の意図するのは、教科書的な意味での日本の近代とやや外れたところに存在した知の原郷というものを訪ねあてる ことにある。 》 19頁下段

《 ネットワークを知ることが重要なのは、そうした繋がりを知ることによって、一人一人の人物についての同時代ならびに 後代の記述には残されていない事実というものを他の人物の側から投影して浮かび上がらせることができるからである。 》  41頁

《 知の極致はその遊技性にありというわけである。 》 52頁上段

《 とどのつまり、藩閥政府が築き上げようとしている、権力を中央に集め、薩長を中心とした少数の集団が情報を集め、 それを管理する人間たちも、役に立つ・立たぬの二元的価値を基に階層化しようとする統治機構が生み出すリアリティとは別の、 知識・情報を自らの手で生み出し、それらを育て、自ら管理し、頒ち合いながら作り上げる、今流行の言葉でいえば オルターナティヴ(もう一つの選択)の現実、リアリティともいえるものである。物に支配されるのではなく、物を通して、 自らの抱き持つ潜在的可能性を開発していくこと、それは「文」を通して可能性を開発していく文学の営みと少しも異なる ものではない。 》 60-61頁

《 これらの人々は魯庵と共に二十一世紀の知で生きようとする日本人たちのオルターナティヴのためのモデルを提供する はずである。 》 63頁

 今日さらにその喫緊の重要性を思う。そのような知のネットワーク、人脈(ただ知っているのではない信頼関係)。 じつに興味深い課題だ。

 ネットの見聞。

《 「あと、“写ルンです” を持ってる女の子も多くて。やっぱり最近のフィルムカメラ人気は 本物じゃないかって気がしました」 》 アドタイ
 http://www.advertimes.com/20160916/article233027/

 午後撮り終わった「写ルンです」を現像に出す。

《 「シン・ゴジラ」、私はこう読む 》 日経ビジネス
 http://business.nikkeibp.co.jp/special/godzilla/index.html?n_cid=nbpnbo_fbbn

《 クレジットや銀行カードにマイナンバーを統合する必要性なんて全くないのに、政府はマイナンバーで全ての個人情報を 統合しようとしています。すなわち購買履歴を全て国家に把握されるということです。資産から支出まで全て監視。 趣味や嗜好まで把握されます。戦前とは比べ物にならない監視社会です。 》 名もなき投資家
 https://twitter.com/value_investors/status/776769599136161792

《 冲方丁さんの留置場生活「警察の中は治外法権、無法地帯」「笑うべきもの」 》 弁護士ドットコム
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160917-00005119-bengocom-soci

《 『縄文族 JOMON TRIBE』展、謎多き原始日本のタトゥーを「復興」 》 SINRA.NET
 http://www.cinra.net/news/20160916-jomontribe

 ネットの拾いもの。

《 今日7月17日は、中井英夫の誕生日とのことで… 》

 そんなはずは、と中井英夫氏から恵まれた『虚無への供物』講談社文庫、「30刷記念に」と氏によって記された本の年譜には9月17日。 ツイートは後に訂正された。