閑人亭日録

『椿の海の記』六

 石牟礼道子『椿の海の記』朝日新聞社1976年初版を読んだ。「第十章 椿」。

《  午前(ひるまえ)は、土の匂いも畝の間で完熟した堆肥の匂いも、いっしょくたになって立ちこめているが、あれほど鳴き立てていた蝉さえ「日中(にっちゅう) 除け」に入って鳴き止む日盛りになると、匂いそのものにも水気が切れてきて、あちらの畠でもこちらの畠でも、日中除けにはいる。
  見渡すかぎりの段々畠には、人も牛も犬もいなくて、丘のいただきの高い棕櫚の樹が、傘状に傾いてひろがる鋭いその葉先から、みえない陽の箭(や)をしんしんと 送りつづけていた。 》 250-351頁

 「第十一章 外(と)の崎浦」。

《 人と人との間には、運命とか宿命の裂け目のようなものがおのずからあり、あるときには互いに絡まったりより添ったりするけれども、いまみえはじめている 裂け目の、一方の端に、自分はひとり腰かけていて、彼方の方へわかれて消える他の運命を、闇をへだてて見つめている。 》 287頁

 味戸ケイコさんの絵について語られたよう。明日は東京へ味戸さんの新作を見に行く。

《 溶け出してしまいそうな柔らかい空の下を、哀泣するかのようなその音色が、晩春の光にも絡もうとしてはすべり落ち、すべり落ちして家並のあいだを抜け、 青麦のあいだを越え、菜の花畑の上を越えて、「天然の美」のふしで、ぷうわ、ぷうわ、ぷうわっわ、ぷうわっわ、と波のようにゆっくりやってくる。芹の光る蛙の上に やってくる。心の琴線に降りて来て、その音色がふいに絡みつく。 》 291頁

 CD、アダチ宣伝社『楽しいチンドン・むかしのうた』2002年の締め「美しき天然」を聴く。いいねえ。『椿の海の記』を読了してこれを聴くとしみじみ~。 実演を視聴したい。それにしても『椿の海の記』の文章表現には驚嘆。これは凄い。こんな表現には今まで出合ったことがない。傑作だろう。

 朝、源兵衛川中流部、下源兵衛橋~かわせみ橋の茶碗のカケラ、ガラス片などを拾う。ほぼ無くなり重くなって終了。帰宅。一汗。コーヒーが美味い。
 夕食を済ませてのんきにネットを回遊していたら、「蕨ミニ劇場」の表示。ウッソー、まだ健在? ホントだ営業中。半世紀前、東北本線上野駅に向かう急行列車で 夜の景色を眺めていた目に飛び込んできたネオン看板「蕨ミニ劇場」。線路際にあるの? と後日確かめに行った。スレンダーな踊り子さんにぐっと胸を衝かれた。

 ネット、うろうろ。

《 安倍晋三首相と省庁幹部らとの面談で使われた説明資料や議事録などの記録約1年分を毎日新聞首相官邸に情報公開請求したところ、全て「不存在」 と回答されました。官邸が記録の保存期間を裁量で廃棄できる1年未満に設定していることも判明しました。 》 毎日新聞
 https://twitter.com/mainichi/status/1117028972456337409

《 なぜ議事録がないのか。官僚たちの証言「首相の目の前ではメモは取れない。見つかれば面談に入れてもらえなくなる」「メモはまずいのでポケットに録音機を 忍ばせた」「記憶した首相とのやり取りを部下に口頭で伝えてメモ」「官邸ににらまれるので公文書扱いにはしていない」 》 小川一
 https://twitter.com/pinpinkiri/status/1117171897303584768

《 「官邸は首相と省庁幹部の面談記録を残しているのか」と毎日新聞がここ1年分の情報公開請求をしたところ、官邸の回答は「不存在」、つまり1件もないだった。 毎日新聞モリカケの教訓は生かされてないのかと問うが、生かされてるんです。うっかり残すとエライ目に遭うと学習したんだ。で、廃棄、廃棄。 》 立川談四楼
 https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1117270966751514624

《 安倍首相がトランプ米大統領と会談するたびに他国で不人気な高額兵器の爆買いを約束させられて、国民が働いて払った税金を米国の軍事産業に献納している状況 なのだから、日本が民主主義国であるなら、税金を払った国民に対する説明責任を政府は負う。防衛省の責任ではない。 》 山崎 雅弘
 https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1116986388014964736

《 「WTO日本敗訴には当たらず」という菅官房長官の強弁は、国内の一部政権支持者向けの妄言に過ぎない。読売、産経でさえ「敗訴」と表現しているのだ。 当然のことながら、国際的には全く通用しない。こんな対応を取り続けていれば日本の国際的信用は地に落ちていくだろう。 》 TAKANO
 https://twitter.com/mt3678mt/status/1116631376776663041

《  昔、職場の取材記事を受けたことがあって

  私「定時に帰ってます」
  インタビュー「定時で帰るには職場でどんな工夫があるのでしょうか?」
  私「定時になったら帰ることです」

  という禅問答があった。  》 山本一成
 https://twitter.com/issei_y/status/1117231740718735360

《 カルロス・ゴーンが隠匿した資産を尖閣諸島に隠したと自供しあらゆる関係各所の制止を振り切って税務署が尖閣諸島に上陸した事から始まる日中紛争 》  ドンガメ六号
 https://twitter.com/dongame6/status/1117305448862851072