『〈現実〉とは何か』(閑人亭日録)

 西郷甲矢人(はやと)/田口茂『〈現実〉とは何か  数学・哲学から始まる世界像の転換』筑摩選書2019年初版を少し読んだ。

《 もちろん、これが「現実」についての唯一の原理であると主張するつもりはない。しかし、かなりの程度普遍的な原理ではないかとわれわれは思っている。 》 「序」  12頁

《 哲学的にいえば、「実体」的なものに囚われがちなある種の性癖からわれわれの思考を脱却させる装置として、数学的全体が機能するのである。数学とは、われわれの 思考を縛るものであるより、「問いがなければ答えがない」という仕方で、われわれの思考を「動かす」ものなのである。 》 「序」 15頁

 「第一章 実在から不定元へ」を読んだ。

《 たとえば、「光が波動であり同時に粒子である」とよく説明されれるが、このことをいったいどのように理解したらよいのか。 》 20頁

《 しかし、「場」とは曖昧にとどめて構わないような周縁的な概念ではなく、むしろそれこそが、現代物理学の最も重要な根本概念の一つなのである。 》 26頁

《 そこで、現代物理学では電子は電子場として理解される。同様に、素粒子というのは、すべて対応する場として捉えられるのであり、普通の意味での粒子という イメージでは捉えきれない何かなのである。 》 35頁

《 粒子の実体論も、場の実体論も、つきつめれば、現にある現象そのもの──それが科学的探求の出発点でもあったはずである──から遊離した、不自然な考え方に陥る。 これに対して、より自然な仕方で、現象に即した考え方はないのだろうか。 》 43頁

《 量子論以前の統計においては、本当の法則は一つに決まっており、法則の不定性は人間の無知や様々なバイアスによるものだと考えられていた。ところが、法則の 不定性には物理的な基盤があり、その不定性自体が、自然の正当な現れ方なのだということが、量子論において明らかになってきたのである。 》 53頁

《 粒子が現れると、場を新しく作り出す条件になるという意味でも、「粒子になった」状態ではなく、「粒子になる」という出来事が重要なのである。》  56頁

《 だが、「場をはっきりつかめない」ということを、積極的に捉えるかどうかが、ここで決定的なこととして問われてきている。 》 57頁

《 「それ自体としてつかめないということが自然そのものの本来的な現われ方を示している。 》 57頁

《 現実の世界では決まっているものを、数学の世界では「仮に」「不定」と見なして、思考のなかで様々なヴァリエーションを考慮に入れ、それらの一般構造を考える、 というのではない。むしろ、自然そのものが、根本的に「決まっていない」もの、「不定元」的なものとして姿を現してきている。量子論は、このような考え方の転換を われわれに促している。 》 60頁

《 つまり、「数学」というものの核心には、どこまでも「不定」なものがあり、眼を逸らすことなく、それをどこまでも「不定なもの」として持ちこたえ続けることが、 まさしく数学を数学たらしめているとわれわれは考えるのである。そしてそれが、ほかならぬ「現実」そのものの現われ方でもある、ということを主張したいのである。 》  61頁

《 それでは「現実」とはいったい何なのか、という問いに対して、「現実」を「不定元」として考えるという見方が示された。[中略]「不定元」という考え方は、 歴史的には数学のなかで現れてきたものであるが、それはそもそも現実そのもののあり方を形として表現するものだったのである。 》 64頁

 なんという意外な考え。「現実」という概念へのもやもやしたものが薄らいでくる。昂奮。

 午後、源兵衛川中流部、水の苑緑地・かわせみ橋下流の茶碗のカケラ、ガラス片を拾う。何人もの男女がカメラを手にカワセミを撮ろうとたむろしているので、ちょっと 離れた場所で作業。重くなったので終了。帰宅。シャツ一枚だけれど汗。

 ネット、うろうろ。

《 かりんとうを猫の前に置いてみたら、本当にうんち扱いしていた。それをわざわざ食べて見せたら、ドン引きされた挙句、興奮した猫が走り回る羽目に。 どうしよう、今後なさったうんちを食えと運んでこられたら。。。 (恐怖) 》 たちはら とうや
https://twitter.com/ttouya/status/1372348861176422401

《 東京オリンピックオフィシャルショップ、東京オリンピックまでもたなかったか…… 》 シキ
https://twitter.com/kokusairengo/status/1372130704620888071

《 国威を発揚するはずだったのに、ここまで国威を毀損しまくる国策イベントになるとは。。 》 辻田 真佐憲
https://twitter.com/reichsneet/status/1372386108047196164

《 近代の〈物神事実〉崇拝について 》 松岡正剛の千夜千冊
https://1000ya.isis.ne.jp/1766.html

《 一流の思想は新しい時代を切り開いてしまったりするけど、二流の思想にはその時代の空気がよく反映される。ある時代に常識的であった平凡な観方を知るには、 二流・三流の思想も有用だ。 》 DDC_violoncellista
https://twitter.com/DDC_violoncelli/status/1372375011940429829

《 ポスト・モダンなんてひどい三流思想だと思うけど、時代のくだらなさを知るにはいいものな。 》 DDC_violoncellista
https://twitter.com/DDC_violoncelli/status/1372375167507165188

《 以前、某藝大の進級展で出会った画学生に卒展で再会したとき、見る影もなく落ち込んでいたので、訊いてみるとゲスト招聘した美術史家から「この時代にこの作品を 作る意味あるの?」と評されたとのこと。作者の「生」にとって必要、が本義で「社会/美術/学科にとって○○」などの評価は、二次的問題。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1372562708877373441

《 今回印象に残ったのは、2年前、3年前は数十点が完売していた作家が、今回1割ほどしか赤丸が付いていなかったこと。まだ初日だが。欲しい方に行き渡ったのか、 価格が上がってファン層が買いにくくなったのか、流行りに乗る方々が別の対象に移っただけなのか。全部だと思うけど。怖いなぁ。 》 キングかす
https://twitter.com/king_kasu2/status/1372691010657075206

《 端から見ていて感じるのは、アー○コレクターズ系、落ち目だよね。
  将来美術館に入れようと想定すらしていない一般向け作品の世界。 》 キングかす
https://twitter.com/king_kasu2/status/1372696417693618178

《 現状の変更には、事実のエビデンスによる社会の説得が必要なので、膨大な労力が必要である。

  それに比べると、現状追認にはなんの労苦もいらない。なんのエビデンスもない意見だけ言っていればいい。

  だから言論人には安直な現状追認屋ばかりが増えていく。 》 烏賀陽 弘道
https://twitter.com/hirougaya/status/1372588480950202369

《 白金の旧国立公衆衛生院(1938)。長い間廃墟のようになっていた時代を知っていると、美しく保存されている姿をみると感無量です。郷土歴史館+複合施設として オープンしたとき、あまり知られていなかったのか、職員の方がチラシを片手に通りで呼び込みをしていました。すっとんでお邪魔しましたね。 》 広岡 祐
https://twitter.com/yu_speedbird/status/1371760189582536704

《 これ、縦読みしてはいけない事実を教えられた 》 Kαzuʞi
https://twitter.com/ffst_22/status/1370650286000238593