『死霊 九章《虚体》論──大宇宙の夢』(閑人亭日録)

 埴谷雄高『死霊 九章《虚体》論──大宇宙の夢』講談社一九九五年一二月二〇日第一刷発行を開く。

《 一昨日、その三輪君は、私に──嘗てなかったもの、また決してあり得ぬもの、のみをこそひたすら求めていて、人間が人間である自己証明として、「創り出す」そのものこそは《虚体》にほかならぬ、と、いわば魂の絶対窮極渇望のかたちをこそ──狂気のはじめのはじめで無限意志の最後の最後の標しのごとくにきっぱりと述べました。 》 32頁