バターナイフ

 昨日は展示替えで頭が一杯で、気分転換にブックオフ長泉店へ行ったことも忘れていた。二冊買った。小林康夫船曳建夫・編「知のモラル」東京大学出版会1996年初版帯付、瀬戸川猛資「夢想の研究」創元ライブラリー1999年初版、計210円。

 昨日は57歳の誕生日。まさかこんなに生きるとは予想していなかった。知人から柳宗理のバターナイフを戴く。今朝、パリッと焼いたイギリスパンにこれでバターを塗った。感触がずいぶん違う。面白いものだ。

 毎日新聞朝刊コラム「発信箱」中村秀明から。関西広告機構の
「創設に動いた人物の一人がサントリーの名物経営者、故佐治敬三さんだった。」
「あす3日は、佐治さんの九回忌。もうけて、あるいは稼いで、『何をしたいのか』。自らに問うてみたい。」
 たしかに。私は、味戸ケイコさんのエッセイ画集「あじさいの少女」径書房1985年所収の「海と青年」(青年とは私のこと)に書かれている。
「小さなわたしの美術館を建てる夢を育んでくれている青年がいる。」
 私は、味戸ケイコさんの美術館を建てるためにガンガン働いてきた。そんな夢がなければ、金を稼ごうなんて思わなかった。いや、そんな夢を抱かなければ、ちゃんと生きてきたかどうか。いや、ちゃんと生きるために夢を抱いた。

 昨日記した安藤信哉の「自画像」のサントリー・オールド壜を改めて観る。間違いようのないオールドだ。当然だけれど、この品格ある絵は今も新鮮な印象を与える。