不動の地位

 昨日買った「世界名画の旅6アメリカ編」朝日文庫1989年初版を読む。

≪日本の美術、とりわけ浮世絵が、十九世紀後半から二十世紀初頭にかけて、西欧の美術に強い衝撃を与えたことが知られている。≫45頁

≪この時代の重要な画家たちの中でジャポニスムと無縁だったのは、一人セザンヌだけ、といわれている。≫45-46頁

セザンヌは、長いあいだ理解されることなく、孤独のうちに生きた画家である。≫83頁

≪「セザンヌはエクスの市民に『野蛮人』とみなされていた。」と、画商のボラールが書き残している。≫83頁

セザンヌの絵がパリで売れ始め、画壇の一部で評価されだすのは、死の十年前、五十代もなかばを過ぎてからである。晩年になって、ようやく不遇な人生にさした薄日。≫84頁

 セザンヌ(1839-1906)が野蛮人なら、誰かさんが変人と呼ばれても不思議ではないわな。そのセザンヌは、今や二十世紀絵画への道を切り開いた先駆者として不動の地位にある。先駆者に不遇はつねにつきまとう。だから先駆者と言われるのだけれど。

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