意識通信

 昼前、ブックオフ長泉店で二冊。安野光雅『文学の絵本』筑摩書房1997年2刷、レジルド・ヒル『探偵稼業は運しだい』PHP文芸文庫201年初版、計210円。前者は「ちくま日本文学全集」全60巻の挿画集。巻末に各巻の収録作品が載っている。読書の参考になる。評論家、批評家の巻はなかなか見ない。気長に探そう。

 昼、三島市民文化会館大ホールでの告別式に参列。薄日の差す寒陽気。

 昨日の毎日新聞読書欄、西垣通集合知とは何か』中公新書への三浦雅士の評が興味を引いた。

《 コンピュータは「タイプ I 」から「タイプ II 」へと変貌したのであると、本書の著者は言う。 》

《 知の世界そのものが「機械の知」から「生命の知」へと大きく転換しつつあることに注意を促しているのだ。近代西洋型の知からの大きな転換、コンピュータが「タイプ I 」から「タイプ II 」へと変貌したことの意味はそこにあるというのである。 》

《 こうして、「人間集団を感性的な深層から活性化し、集団的な知としてまとめあげる」ような「タイプ III 」のコンピュータの出現がいまや切望されているというのだ。 》

 この評から「ドリーム・ナヴィゲイターの誕生」という副題のある、森岡正博『意識通信』ちくま学芸文庫2002年初版を連想。元版は1993年の出版。例えばこんな文章。

《 匿名性に裏付けられた、制限メディアの意識通信では、参加者たちの表層意識だけではなく、その奥に秘められた深層意識までもが活性化されて表面に出てくることがある。 》 「第四章 社会の夢」153頁

《 これと並行して、個人のこころの底にある深層意識が、触手を伝って意識交流場へと流出する。そして、誰一人として気付かないうちに、我々三人の深層意識は意識交流場で混ざり合い、意識交流場の底辺に沈み込んでひとつの流動的な層を形成する。これが我々三人の社会が作り上げた「社会の無意識」である。 》 同167頁

 「文庫版あとがき」から。

《 第 II 部で言いたかったことは、電子メディアが社会全体に浸透するようになったら、それは、われわれの集合的な無意識と密接な相互交流をすることになるはずだということである。深層心理学が扱ってきたようなことがらが、電子メディア全体で生じるようになる。集合的な無意識と電子メディアというテーマが、本書の真の主題だった。 》

《 単行本が出版されたときに、何人かの方々から、本書の内容は「早すぎる」といわれた。 》

 刊行から20年。時代がやっと追付いた。

 ネットの見聞。

《 TPPの「ネガティブリスト」などたいした問題ではない。TPPにはいちど参加させてしまえば、国家の主権など米国企業の利害によって奪える仕掛けが、ISD条項を初めとしていくつも用意されている。参加は、即植民地化を意味する条約なのである。条件闘争など意味はない。参加してはいけないのだ。 》 兵頭正俊

《 TPPに参加したら、条約発効後4年間は、交渉内容を公開してはならないことになっている。これは民主主義と国民主権に対立する、まことに異様な合意である。それほど国民に知られたらまずい内容が入っているわけだ。 》 同

《 TPP参加後、「守秘合意」の4年間のうちに、TPPは国会で批准されている。仮に国中が大騒ぎになったとしても、それへの対策がすでに条約の中に入れてある。「再協議禁止」がそれである。これはTPPが国会で批准されると、再協議することはできないのだ。 》 同

 ネットの拾いもの。

《 一人一曲づつ暗記するっていうSF映画だれか作らないかな?「歌詞451度」とかいうタイトルで。 》