成熟

 昨日グラウンドワーク三島の引越しのお手伝いで、新しい事務所に荷物を運び入れていたとき、若い女性から挨拶された。周囲は、あんな若い(三十代)子から声掛けられるなんて、とちょっと驚いた表情。ははは、いい気分。こちらが気づかぬとき、向うから挨拶されるのが、自分の品性を測る目安になる。

 まだ若輩者のつもりだけれど、六十歳を越えたジイサン(!)を自覚しないと。そんな昨今、井上陽水を聴くとうまく成熟しているなあ、と感心する。この四十年、若い時とは当然声質が変わっているけれど、今の歌は、その衰えを補って余りある深みと奥行きを見せている。自作の古い歌のカバーには今のほうがいいと感じられる。えらいことだと思う。海外では私と同い年のギリシャの歌姫ハリス・アレクシーウ Haris Alexiou。四十年前の声よりも今のほうが、やはり深い人生を感じさせ、陰影もより深い。

 人間(じんかん)いたるところ青山あり、の心境かも。ちょっと違うか。青山のスーツのことじゃあない。

 ワインは熟成、人は成熟。成熟の先には枯淡が待っている。枯淡、それははかなさに通じる。英語ではフラジャイル= FRAGILE 。スティング Sting の歌う「 FRAGILE 」(『...NOTHING LIKE THE SUN 』1987年収録)が心に沁みる。

《  How fragile we are   how fragile we are

   How fragile we are   how fragile we are  》

 中川五郎の訳。

《  人というものがどれほど脆い存在か
   ぼくらがどれほど儚い存在か
   人がどれほどかよわいか
   僕らがどれほど儚いか         》

 ネットの見聞。

《  東京オリンピック招致委員会「立候補ファイル第2巻121ページ」には、わざわざ東京都内には原発は一基もないと書いてある。そして原発がなくても電力は充分足りていて今後も火力発電所などの新増設でオリンピック開催による追加需要をも満たすと。 》 森ゆうこ

《  一番仕事のやりにくい人は、真面目な人だ。真面目な人は精神の遊びがないので、融通がきかない。妙に道徳的だったりする。つまり保守的で、もっといえば官僚的だ。こーいう人は芸術と関わると病気になるかも。芸術家もこーいう人に関わると病気になる。 》 横尾忠則

 《 日本人全員が苗字をもつようになったのは1875年。翌76年に[「夫婦別姓」が規定され、1898年まで22年間別姓が続いた。夫婦同姓になったのは1898年からで、まだ115年の歴史しかない。同姓は日本古来の文化ではありません。むしろ最初は別姓だった。 》 阿川大樹

 ネットの拾いもの。

 You Tube の『マイケル・ジャクソン スーダラ節』が人気だけれど、『吉幾三 × マイケルジャクソン』も愉快。