齋藤磯雄『詩話・近代ふらんす秀詩鈔』第一章のヴァルモオル夫人の詩は、味戸ケイコさんの 挿絵の本を持っているが、未読。今度読んでみよう。第二章はジェラアル・ド・ネルヴァル。
《 ヴァロワの民間伝承に於て彼が熱愛して已まなかつたあの古色を帯びた幻想と感傷の雰囲気、 それを彼はライン河の抒情詩の中に謂はば再発見したのであり、ドイツの詩人たちに傾倒する ことによつて彼は何ら自己の独創性を失ふところなく、逆に愈々明確に己自身を意識することに よつて独創性を発展せしめたと見るべきであらう。 》
四篇の詩が紹介されれている。四つ目は「廃嫡者」1853年。小説『火の娘』1854年の巻末に 附録として収載された詩の一つのこれを、息詰まるほど綿密に考察している。
《 彼以前の何びとも企て及ばなかっつた実に奇怪な傑作である。 》
《 「廃嫡者」といふ題名はウォルタア・スコットの小説『アイヴァンホウ』第八章の次のやうな 一節から籍りたものである。(中略)ネルヴァルは、不幸に憑かれたこの中世の騎士に自らを 擬してゐるのである。 》
『アイヴァンホウ』。四十年ほど前に読んだなあ。
《 暗澹たる背景の上に映像と映像とがまばゆく衝突し交錯するこれらの十四行詩には、絶望的な 抒情の、忘れ得ぬ抑揚があり、魔法のやうな諧調がある。 》
《 ──やがて十二音綴を一気に誦する次の詩句の、朗々たる旋律に、無限の憂愁を託す。 》
十二音綴(アレクサンドラン)。四十年余り前、加藤郁乎句集『球体感覚』で出合ってから ずっと気になっている。
啄木鳥告げる十二音綴(アレクサンドラン)の無電…
松山俊太郎『球体感覚御開帳』冥草舎1971年を繙いてネルヴァルの詩には直接的なつながりは なさそうだな、と思ったり。
《 第二詩句「女王の接吻(くちづけ)」は小説『シルヴィイ』に描かれたアドリエンヌの挿話と つながりがある。 》
中断をはさみ、あれこれ連想ながらの読書なので、たった四十頁に一日を費やした。が、 充実した思い。
ネルヴァルの小説『火の娘』『オーレリア』は中央公論社『新集 世界の文学 8 ネルヴァル ボードレール』1974年再版で、『シルヴィ』『オーレリア』ほかは講談社『世界文学全集 73 ネルヴァル ロートレアモン』1978年初版で持っているが、未読。未読ばっかだな。まだ読む 時機ではなかった、ということだ。還暦を過ぎて今こそ人生の残照の中で文学を、本を愉しむ。
ネット注文した古書、齋藤磯雄・訳『ヴィリエ・ド・リラダン全集』第二巻東京創元社1977年 初版箱付が届く。布装の普及版。「未来のイヴ」を収録。当時の定価は4800円。買えなかった。 今は半額。文学書の古本は安くなった。
そういえば上記講談社『世界文学全集 73 ネルヴァル ロートレアモン』1978年初版 定価860円が、古本値2.500円、5,000円。何が値上がりするかワカランわ。
ネットの見聞。
《 長期的な将来には、僕はいま「アート」として扱われているものの多くは、 過去を検証するための資料的価値しかなくなり、代わって現在、ポピュラー・アーティストとして 扱われている表現者のうちから、人間の可能性を根源から考える糧として敬われる歴史的対象が 現れると考え『後美術論』を書きました。 》 椹木野衣
《 どこを切っても同じようなものしか見えてこない国際美術展とか、もう飽き飽きなんですね。 そんなことに費やす時間があるなら、僕は見知らぬ土地で人知れぬ創作を続けている アウトサイダーたちの可能性を、自分の目で確かめに行きたい。 》 椹木野衣
https://twitter.com/noieu
《 ネットフリックスは映画やドラマをインターネット配信する米ネットTVの最大手で、今秋 日本でもそのサービスを開始する。これは月額千円ほどの料金で、ハリウッド映画や テレビドラマなどの10万本、それに日本の映画やドラマも加え、いつでも好きなだけ自分の都合で 見放題に映画やドラマを観ることができるものだ。まさに日本のテレビ局にとって「黒船来襲」で、 電波利権にあぐらをかいてきた日本の「テレビ60年体制」の終焉を迎えるかもしれない。 》 出版・読書メモランダム
http://d.hatena.ne.jp/OdaMitsuo/20150401/1427814003
《 たとえば、太田と安倍首相を、あるいは古賀氏と菅官房長官を同列に並べて「どっちもどっち」 などとせせら笑っている人がいたら、ぜひ、改めて考えてみてもらいたい。この言論封殺の動きが 進んだら、その先に何が起こるのか。もしかすると、権力者をせせら笑うことさえ許されなくなってしまう かもしれないのだ。 》 LITERAX
http://lite-ra.com/2015/04/post-991_3.html
《 誹謗中傷するネトウヨ系に迷惑してる場合、米国Twitter社への情報開示請求に保証金が 30万円だけどそれは返ってくるお金で、あとは翻訳代5〜6万円と弁護料でやれるので、 確かに高いけど、もの凄くバカ高い話でもないから、本気で闘いたい人にはおすすめしたいよ。 》
ネットの拾いもの。
《 「茹で上げスパゲッティ五右衛門」って店名、本人が見たらブチ切れそうだな。 「バーベキューハウス ジャンヌ・ダルク」って名前つけるようなもんだろ。 》
《 「薬を2倍飲めば効果も2倍だと思って1回1錠じゃなくて2錠飲んでる」
って言われて、お医者さんは、
「彼女が2人いたら幸せも2倍だと思っていたのに(現在)、
面倒な事が起きて刺されて死ぬ(未来)イメージをしてください」
って答えてた。 》