「 私信の分別 」

 一昨日昨日と採りあげたPamのタイポグラフィ展、7月25日のシンポジウムには 東京から無料往復送迎バスが出る。おお、太っ腹。
 http://www.tt-paper.co.jp/pam/info/pdf/20150527_info.pdf

 一昨日の記事の続き。この三十余年に届いた大量の私信を分別。処分行きのものは、 30リットルのゴミ袋三袋に。ふう。文筆家の種村季弘中井英夫服部まゆみ、 画家の木葉井悦子、マンガ家のつりたくにこさんたち故人からのものは保存。文筆家の 早坂類(青木景子)、岩瀬成子工藤直子、小手毬るい(川滝かおり)さんたち現役も 一応保存。などなど段ボール箱一箱に収まった。

 藤原伊織『名残り火 てのひらの闇 II 』文春文庫2010年初版、前半を読んだ。 遺作。気障がギリギリさまになっている。オトコの夢、ロマン。

《 流れるようになめらかな身のこなしでいどうし、彼女は畳に正座した。たしか 柿島より、ひとまわり若かった。まだ三十代後半。だが年齢とかかわりなく、 単純でありながら優雅で自然な動作を身につけた人間はいる。彼女はそのひとりだった。 黒い風の流れが、目のまえでかたちになったようだった。/ ほっそりのびた首筋が 喪服と鮮やかな対比をみせている。(中略)私は彼女から視線を外さなかった。いや、 はずせなかった。 》 89頁

 後半が楽しみだ。

 某大学教授の評論家は藤原伊織の小説をボロクソに評しているが、遅れてきた者の、 全共闘経験者への浅薄な妬みを感じた。藤原伊織、享年59。北森鴻、享年48。 隆慶一郎、享年66歳は、そう見ると早すぎもしないか。隆慶一郎の「不肖の息子」が、 二昔前、三島駅のそばでスナックを開いていた。隆慶一郎と親しい知人から教えられ、 訪問。店の名前にちなんで、今江祥智『薔薇猫ちゃん』原生林1990年を贈呈した。 バブルが弾けて店は閉店。熱海生まれという私好みの奥さんはどうしたのだろう。 隆慶一郎は、藤原伊織と違って直木賞は候補止まりだった。選考委員の某時代小説家が作品に 嫉妬して反対した、と仄聞。そうだろうな。候補の一つ『吉原御免状』について 松岡正剛が書いている。

《 いやー、参った。唸った。だいたいこの作家が誰であるかも知らずに読んだせいか、 よけいに驚いた。 》

《 傑作でもある。時代小説の名作かもしれない。 》

《 この作品を明日にでも読み始めることを「千夜千冊」の読者にもなんとしてでも 強要しておくことにする。 》
 http://1000ya.isis.ne.jp/0169.html

 ネットの拾いもの。

《 自民党議員「ベストセラー作家から、あらためて言葉の大切さを学びました。」
  ベストセラー作家「あれは冗談です。」 》

《 民主党の最大の失態はマスコミに飯を奢らなかった事らしい。 》

《 相撲取りみたいな肥満体の男性が折り畳み自転車を熱心に見つめていた。
  店員さんは何もお勧めしようとせず、
  むしろ、離れて、見ないふりしているふうだった。 》