『旅のパンセ』

 昨日の『BRUTUS』で引用し忘れた箇所。浦沢直樹倉本美津留の対談「漫画密談中。」から。

《 浦沢 手塚とかビートルズとか、あんな遙か彼方から強い光を放って、それが今も届き続けている。 60年代の光が今も埋もれずに届いているってことに、疑問なり好奇心を持つとこから始めないと。 古いってだけで片づけちゃうと、見失っちゃいますよ。
  倉本 全然古くないよね。漫画の創成期にみんな一度は行ったほうがいい。めっちゃ新鮮やから。
  浦沢 手塚治虫水木しげる白土三平、みんなあの時期に今新しいだろうなんて思ってること、 全部やっちゃってるからね。
  倉本 次の時代のバトンを受け取って渡すためには、そこを知らんとね。
  浦沢 漫画でも音楽でも映画でもね、研究しながらね、自分に対して「へたくそ!」って思いながら やってる人間しかうまくなるわけがない。
  倉本 うんうん。 》 161頁

 うんうん。

 五木寛之『旅のパンセ』ランティエ叢書1997年初版を読んだ。気軽な旅エッセイ。

《 チェコスロヴァキアの小学校では、ロシア語は必須科目になっているのです。(中略) そんな具合で、その親父に簡単なロシア語がわからないわけはないと思った。
  ところが、いまいましいことに、その親父は平然としてこう答えたのです。
  「私はロシア語が全くわからない。だからあんたの質問に答えるわけにはいかん」
  それを彼は何と実に正確で滑らかなロシア語で言ったのだ。 》 33-34頁

《 今、ドイツで最も大きな社会問題は、人口の減少と失業だという。西ドイツの奇跡の繁栄と いわれたのは、もう遠い過去の話になってしまったようだ。 》 148頁

 1985年の記事。三十年遅れて日本。

《 この十年あまり、ぼくらの周囲には、〈暗い〉ことを頭から馬鹿にする風潮がおおいに横行してきた。 (中略)
  「クラーい」「エーッ」「ウソー」
  という合唱を背後にして八○年代日本の社会と経済は、繁栄の道をひた走りつづけてきたのである。 》  196頁

 1987年の記事。

《 夜、部屋でテレビを見る。テレビ局の連中がさかんに「信頼を回復するために」とか言っているのをきいて、 ふしぎな気がした。(中略)日清、日露以来、今日までマスコミは一度も本当に民衆に信頼されたことなど ないのに。 》 266頁

 1997年の記事。二十年前だ。

 午後、三島梅花藻の里の奥(西)の空き地を水と緑の公園にする事業初日に参加。軽く汗。

 ネットの見聞。

《 作品以外に「余技」として、華やかな私生活や場合によってはスキャンダルを「売り物」にして、 知名度を上げるという戦略を採用している作家はおります。あるいはどうでもいいような身辺雑記 (誰と飲んだ、何を食った、どこに旅した)を雑誌に書き散らしている作家もおります。 でも、村上春樹の「小説以外のテクスト」の意味はそれとはまったく違います。 》 内田樹
 http://blog.tatsuru.com/2016/02/05_1433.php

《 NHKニュースが政府広報局となり下がったいま、せめて東京新聞日刊ゲンダイ(笑)が スマホに最適化したニュース専門のちょっとオシャレなインターネットテレビを配信したら、 風穴が少しは空くんじゃないかな。 》 森岡正博
 https://twitter.com/sukuitohananika

《 「愛国心を持つなら地球に持て。魂を国家に管理されるな。」ジミ・ヘンドリックス 》

 ネットの拾いもの。

《 「日本に移民を入れる場合、日本人の苦手とする分野を補完してくれる人材を入れるべき」という 前提から出発してしばらく考えた結果、「日本が外国から呼び込むべき移民は政治家と経営者である」 という結論に達した。 》

《 年金がどれだけ溶けたのか公表しろ泥棒黒田

  ↑特定秘密です♪ 》

《 日本の官能小説などでは豊かな乳房を「お椀をひっくりかえしたような」と表現するが、 ロシアでは同じような比喩を使う状況で「バケツをひっくり返したような」と描写する。 》