「パラダイムの転換」

 昨日の引用。

《 この本の目的は、科学研究が遂行される前提となる枠組み、パラダイムを明らかにし、それを批判的に検討する ことだからである。 》

 すこぶる刺激的だ。

《 paradigm ある時代や分野において支配的規範となる「物の見方や捉え方」のこと。 》

 また昨日の引用。

《 こうした意味は、「私」が自らの知覚的世界において創造したものであるから、他者と共有されているか否かは 定かでない。意味の共有が確認されなくてはならないのである。 》

 これを受けて「美術、芸術における創造とは、と思考が惹き起こされる。」と書いた。創造物が出現した時点では、 その新しさの「意味の共有」は、ごく少数の目利きにしかなされない。最近もてはやされている伊藤若冲は、1960年代には 日本のコレクターからは見向きもされなかった。その理由。知らないから。そしてアメリカ人に買われた。日本人は金は あっても審美眼はなかった。明治期における浮世絵の評価も同様だった。日本の知識階級、エリート層の病弊かも。
 昨日の毎日新聞夕刊、松井孝典「読書日記」を読んでそんなことを思った。ピーター・ウォード、ジョゼフ・カーシュヴィング 『生物はなぜ誕生したか──生命の起源と進化の最新科学』河出書房新社2016年ついて。

《 21世紀にドラスティックに変わりつつある生物の進化史をまとめたのが、本書だ。 》

《 地球の環境変動と、生物進化の深いかかわりが、21世紀になっての古生物学的発見の事実に補強され、これまでの 通説とは異なる、説得力のある新しいモデルとして、提示される。 》

 ドラスティック drastic とは、徹底的な、激烈な、という意味。現在はまさにその時代だと感じる。あらゆる分野で パラダイムの転換が迫られている、あるいは始まっている。去年出た椹木野衣『後美術論』と『日本美術全集 第19巻  1945-1995 拡張する戦後美術』は美術史への、小代有希子『1945 予定された敗戦』は昭和史への通説のパラダイム 転換を迫るものだと言えよう。理系は事実の検証で転換が早く進むが、文系ではなかなかそうはゆかぬようだ。権威の保身、 序列の死守をはかる美術界の抵抗はいかほどか。

 朝、源兵衛川最上流部から時の鐘橋までのヒメツルソバを駆除。根が残っているものは花を付けている。芽ほどのものは 根が10センチほどで、今ならすーっと軽く引き抜ける。一時間余りで土のう袋半分ほど。去年全面的に駆除したからなあ。 川の水も少ないし、この時季に駆除すれば楽。

 午後、源兵衛川を起点に裏町散歩。川に伸びている無花果の枝にカワセミ。5メートルもない。しばし観賞。お寺の白梅の 残り香を愉しむ。久しぶりのぶらぶら散歩。徘徊老人一歩手前か。

 毎日新聞夕刊コラム、与良正男「熱血! 与良政談」、題は「再び『高市発言』について」。高市総務相から訂正記事を、 という文書を紹介、そして結び。

《 高市氏も言い足りない点はあろうから、私と徹底討論するというのはどうでしょう。 》

 ヤレッ、ヤレッ。楽しみだ。その隣は「夕刊ワイド」。題は「丸川氏『除染の目標 何の根拠もなく決めた』」「これが環境相の 発言か」。結び。

《 環境相として本当にふさわしい人物なのかは、これからも問われ続ける。 》

 毎日新聞で目を通すのは朝刊の「静岡東部版」と夕刊のこの第2面そして日曜日の「今週の本棚」だけ。

 ネットの見聞。

《 Wood spiny lobster 木製の伊勢海老 》
 https://www.youtube.com/watch?v=nD53blQl1no&feature=youtu.be

《 アインシュタイン一般相対性理論が破綻か?5次元ブラックホール解析で「裸の特異点」を算出 》
 http://japanese.engadget.com/2016/02/23/5/

 ネットの拾いもの。

《 「維新と民主が一緒になって 立憲民主だ 文明開化♪ ちゃかぽこチャカポコ……」というフレーズが 瞬時に浮かんだ。 》

《 トイレの個室から男女の声が聞こえる……と思ったらお父さんと女の子だった 》