『述語的世界と制度』「第ニ章 カオス・無意識・述語性」一

 中村雄二郎『人類知抄 百家言』朝日選書1999年初版にこんなくだり。

《 少々紛らわしいが、性悪説性善説というのは、ひとの手前勝手をそれとして許容する立場であり、それに対して 性善説性悪説とは、相手の善意を期待しすぎるために思うとおりに事が運ばないとひどい人間だと思う態度である。 》  200頁

 中村雄二郎の立場は前者、性悪説性善説。私も同じ立場。でなければ、源兵衛川のヒメツルソバを一人で数年かけて 駆除しようとは思わない。当初から協力者は考えなかったし、呼びかけもしなかった。でも世の中にはいいことをしているのに 誰も手を貸してくれないと嘆いたりする人がいる。人それぞれに価値観も行動の規準も違っていることに気づかない人。 いわゆる善意の人とはなるべくかかわらないようにしている。

 昼前、源兵衛川中流部、三石神社から水の苑緑地かわせみ橋までのヒメツルソバ、他を抜く。土のう袋半分ほどに。一汗。

 午後、ブックオフ函南店へ自転車で行く。風のない穏やかな陽気。車が殆ど走らない農道を走る。気持ち良い。鶴岡真弓ジョイスケルト世界』平凡社ライブラリー1999年2刷、金井美恵子『文章教室』河出文庫1999年初版、北森鴻『うさぎ 幻化行』創元推理文庫2014年初版、田口久美子『書店風雲録』ちくま文庫2007年初版、計432円。

 中村雄二郎『述語的世界と制度』岩波書店1998年初版、「第ニ章 カオス・無意識・述語性」を少し読んだ。まことに スリリング(!?)。

《 一般には、系において、揺らぎやその組み合わさったものは、正の(自己励起的)フィードバックが働いて、非常に 強力なものになり、しばしば既存の組織を破壊してしまう。これは〈特異な瞬間〉あるいは〈分岐点〉と呼ばれるところで 起きるが、その際にどのような性格の変化が起きるかはあらかじめ決められない。つまり、系が分解してカオス=無秩序に 向かうか、それとも、〈散逸構造〉と呼ばれるいっそう分化した高い秩序や組織に跳躍するかは、決められない。とはいえ、 カオス=無秩序のなかから〈自己組織化〉の過程をとおして秩序と組織が自発的に生じうるのである。 》 80-81頁

 北一明の耀変茶碗、また先だってふれた玳皮白流天目茶碗の成立過程を連想させる。北耀変茶碗(一級品)とそれに至る 途上の茶碗(二級品)を並べて観察すると、失敗=無秩序のなかから跳躍した完成品(一級品)が生じる過程が見えてくる。 それは暴れ馬を苦心して調教し、馴致させる教程に相似している。野生馬が見事なサラブレッドに。土離れ、釉薬離れだ。

《 ではいったい、弁証法は、いかなる意味で非線形的な全体性に接近するための論理であり、換喩的な論理であるのだろうか。  》 89頁

 『共通感覚論』第五章「生活世界の二つの論理」を参照、とあるので1975年の初刊本で四十年ぶりに再読。

《 すなわち、抒情詩、ロマン主義象徴主義の小説、シュールレアリスムの絵画、フロイトのいう夢の象徴などは隠喩的なもの であり、これに対して叙事詩写実主義の小説、キュヴィズムの絵、人間の欲望の働きなどは換喩的なものだということになる。  》 『共通感覚論』194頁

《 弁証法とは言語の論理であるといった。しかしそれは、ただの言語の論理ではなくて、言語活動の二つの軸のうちの 統合関係=結合軸に沿っての言語の論理であった。さきのモデル化され普遍化された隠喩的なものと換喩的なものという分類で いえば、換喩的な言語の論理であるといってもいい。いや、比喩そのものとしても換喩法は統合関係=結合軸に沿っての イメージ的全体化の方法であるから、弁証法とは〈換喩的な言語の論理〉とこそいうべきである。弁証法が科学的と考えられたのも 換喩的なためであり、実はその意味においてであった。そして、特徴的な部分によってイメージ的全体化を行なうという換喩法の 有効性と弱点はそのまま弁証法の有効性と弱点になっているが、これは決して偶然ではない。換喩法も弁証法もいわば現実界に 密着した、イメージ的全体化の方法である。そのようにイメージ性を含むかぎり人間活動の無意識部分にもかかわるけれども、 換喩法も弁証法も、その性格からいって、無意識的な人間活動への射程となると、どうしても限られざるをえないことになるのである。 /私たち人間の活動は、無意識的なものを大きく含んでいる。 》 『共通感覚論』197頁

 ネットの見聞。

《 時代はインターネットによる情報交流の時代から、 もっと物理的な人間そのものの交流の時代へと 大きく変わってきているのです。 すなわち二十一世紀の民族大移動が、もうはじまっているのです。 》 高城剛
 https://twitter.com/takashiro_bot_/status/812918185036955648

《 宇沢経済学の根底にある「人間尊重」とは何か 》 堀内勉
 http://toyokeizai.net/articles/-/151187

《 五輪エンブレム審査員の一人で唯一、最後の選考で佐野研二郎氏の作品(修正バージョン)に反対したとされる平野敬子さんが 自身のオフィシャルブログ「HIRANO KEIKO’S OFFICIAL BLOG」にて審査過程で何があったかその内情を暴露した。 》 netgeek
 http://netgeek.biz/archives/62151

 ネットの拾いもの。

《 結局、総理は〈史上初めて真珠湾を訪れる現職総理〉ではなく、〈史上初めて、史上初めて真珠湾を訪れる現職総理だと 喧伝した総理〉というところに落ち着いたわけかな? 》 松井計
 https://twitter.com/matsuikei/status/812645793056378880

《 「ぼくの名前は暖房」「ぼくの名前は冷房」二人合わせて檀れいだ。きみとぼくとで檀れいだ。 》 いかふえ
 https://twitter.com/ikafue/status/812364016056053760

《 大学の先生が地域の老人集団から「餅つきやりたいから若い衆よこして」って頼まれたので話を聞いたら 「ワシらが餅つくから食う人間を派遣してほしい」ってなった話 》 たなか
 https://twitter.com/minsst/status/812488053184806912

《 ルンバが作動できるようにすることをrumbable というそうです 》