『時間は存在しない』再読・四(閑人亭日録)

 カルロ・ロヴェッリ『時間は存在しない』NHK出版2019年9月20日第2刷発行を少し再読。以下、覚え書き。

《 わたしたちはこの世界を大まかに切り分け、自分にとって意味がある概念の観点から捉えているが、それらの概念は、あるスケールで「生じている」のだ。 》 132頁

《 ある相互作用によって粒子の位置が具体化すると、粒子の状態が変わる。また、速度が具体化する場合も、粒子の状態が変わる。しかも、速度が具体化してから位置が舞台化したときの状態の変化は、その逆の順序で具体化したときの状態の変化と異なる。つまり順序が問題で、電子の位置を測ってから速度を測ると、速度を測ってから位置を測ったときとは違う状態に変化するのだ。
  これを、量子変数の「非可換性」という。なぜなら位置と速度の順序は「交換できない」からで、順序を換えると、ただではすまなくなる。この非可換性は、量子力学の特徴となる現象の一つであり、それによって二つの物理変数がが確定する際の順序が決まり、その結果、時間の芽が生まれる。物理的な変数の確定は孤立した行為ではなく相互作用であって、これらの相互作用の結果はその順序によって定まる。そしてその順序が、時間的な順序の原始形態なのである。
  おそらく相互作用の結果がその順序に左右されるという事実こそが、この世界における時間の順序の根っこなのだろう。 》 137-138頁

《 物理の核には、この二つのぼやけの起源──物理系がおびただしい数の粒子からなっているという事実と、量子的なフ不確定性──がある。時間の存在は、ぼやけと深く結びついているのだ。そしてそのようなぼやけが生じるのは、わたしたちがこの世界のミクロな詳細を知らないからだ。 》 139頁

《 だからといって、このぼやけは人間の精神が生み出したものではなく、あくまで実際に存在する物理的な相互作用によって決まる。エントロピーは恣意的でもなければ主観的な量でもなく、速度のような相対的な量なのだ。
  物体の速度という性質は、その物体だけに由来するわけではなく、別の物体との関係で決まる。 》 144頁

《 この世界のエントロピーは、この世界の配置だけでなく、世界の像のぼやけ方によっても左右される。そしてそのぼやけ方は、自分たちがどの変数と相互作用するか、つまりわたしたちがこの世界のどの部分に属しているかによって変わってくる。 》 145頁

《 わたしたちはさまざまな宇宙の性質のなかのきわめて特殊な部分集合を識別するようにできていて、そのせいで時間が方向づけられているのだ。 》 146頁

《 宇宙のエントロピーについても、同じことがいえるのかもしれない。たぶん、宇宙は特別な配置になってはいないのだ。おそらくわたしたちが特殊な物理系に属していて、その物理系に属する宇宙の状態が特殊なのだろう。 》 147頁

《 わたしたちがこの世界で見るものの多くは、自分たちの視点が果たす役割を考えに入れてはじめて理解可能になる。視点の役割を考慮しないと理解ができない。 》 152頁

《 早い話が、「外側から見た」世界のなかにある時間構造と、自分たちが観察しているこの世界の性質、自分たちがそのなかにいてその一部であることの影響を受けているこの世界の性質とを混同してはならないのだ。 》 152頁

《 根本のレベルにおけるこの世界は、時間のなかに順序づけられていない出来事の集まりである。それらの出来事は物理的な変数同士の関係を表現しており、これらの変数は元来同じレベルにある。世界のそれぞれの部分は変数全体のごく一部と相互に作用していて、それらの変数の値が「その部分系との関係におけるこの世界の状態」を定める。 》 154頁

 昼前、洗剤などを買いに自転車で隣町のホームセンターへ。友だちから頼まれていた棚二つの板材がないので、別のホームセンターへ。長さ六十センチの薄手の板材二枚とネジなどを購入。無事帰宅。友だちが板を焦げ茶色で塗る。午後、柱と柱の間の作業机の上に二つの棚を設置。ふう。体調が戻ってきたようだ。帰宅した友だちに喜ばれる。やれやれ。

 ネット、うろうろ。

《 「冬の朝が晴れていれば起きて木の枝の枯れ葉が朝日という水のように流れるものに洗われているのを見ているうちに時間がたって行く。どの位の時間がたつかというのでなくてただ確実にたって行くので長いのでも短いのでもなくてそれが時間というものなのである。」

  ― 吉田健一『時間』講談社文芸文庫 》 宮崎智之『モヤモヤの日々』発売中
https://twitter.com/miyazakid/status/1637924310022238209

《 >PCR検査を抑制した"専門家"、尾身氏、押谷氏、脇田氏、舘田氏

  彼らにはクラスター対策のみに固執し(結局はそれも破綻)、PCR検査を抑制し(しかもあろうことか抗原検査を推進)した責任があります。その結果、何が生じたかを調査・分析し、結果に対して補償・救済する道を開く責任があると思います。 》 Koichi Kawakami, 川上浩一
https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1637684053163016192

《 【政府の日本学術会議「改革」方針に対する声明】
  学会からの声明発表が続いています。 》 安全保障関連法に反対する学者の会
https://twitter.com/anpogakusya/status/1637657020424929281