青空の下にうっすらと雲

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。徳川夢声「話術」白揚社1996年初版帯付、島田一男「古墳殺人事件」徳間文庫 1990年初版、計210円。後者は以前読んで印象深かった。内容は覚えていないが。気に入ったミステリはもう一冊買っておく。

 本棚を眺めていて目に留まってしばし読み耽ったのが小林信彦「小説世界のロビンソン」新潮社1989年。

「『現実など一つあれば沢山、小説は現実の再現などに終始すべきではない』という説には、一理もニ理もあると思う。」 333頁

 同感同感。上記「古墳殺人事件」はその典型例だ。そしてそれは絵画にもいえる。現実の再現なら絵画でなくていい。写真で充分。……ちょっと違うかな。昨日取り上げた山本夏彦「日常茶飯事」新潮文庫のこの文に相槌を打ってしまう。

「私には節度を越える、あるいは節度がよくわからぬという、重大な欠点がある。知って越える場合はいいが、知らずに越えているときはみじめである。この一文もあるいはそれを越えたかと、いま私は不安を感じている。」151頁