切れば血の出るすさまじいヒューマニズム

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で三冊。真鍋呉夫句集「月魄(つきしろ)」邑書林2009年初版帯付、八木忠栄(やぎ・ちゅうえい)「身体論」砂子屋書房2008年初版、楠見朋彦(くすみ・ともひこ)「塚本邦雄の青春」ウェッジ文庫2009 年初版、計315円。

 昨夜は≪本書はいわゆる評伝ではない。≫という「塚本邦雄の青春」をついつい拾い読み。なかなか興味深い内容だった。辻井喬の解説「塚本邦雄理解への手懸り」の冒頭。

≪「棺を覆うて後定まる」、という言葉があるが、塚本邦雄が他界した二○○五年六月九日から四年近い年月が経って、彼の評価は定まったとは言いにくい。しかしこれは、否定的な評価も強いから、ということではない。そうではなくて、肯定的評価の拡がりの行く先が詩全体におよび、その内容や影響力の強さがまだ定まっていない、という意味でのことなのである。≫

 手元の塚本邦雄関連の資料から「短歌」平成二年八月号、「特集 与謝野晶子の新しい魅力」寄稿、塚本邦雄「牡丹に似たり」の結び。

≪ただ晶子に學ぶべきは、現代短歌、否現代詩歌が、その先見性に脱帽し、倣ひ習はねばならぬのは、『恋衣』所収明治三十七年九月「明星」、不朽の七五調の告発詩、すなはち「君死にたまふことなかれ」の、愕然たる、切れば血の出るすさまじいヒューマニズム、これ以外にあるまい。≫

 「月魄」の帯の文。

≪「月魄」が/この極大宇宙の/魂の光であるならば/俳句は/その光に敏感に呼應した/極微なわれわれの/魂の詩である≫

 北一明氏の「耀変茶碗」「デスマスク」のことを言っているような。

 男女の恋愛観の違いの説得力ある分析。

≪「男性は名前を付けて保存」「女性は上書き保存」≫