『塚本邦雄監修 現代詩コレクション』

 『塚本邦雄監修 現代詩コレクション』書肆季節社1990年、直球、変化球、くせ玉、豪速球、いろいろな詩が ないまぜに。へえ〜と感心したり、わからねえなあ、と天を仰いだり、これはいいなあ、とうれしくなったり。 塚本邦雄の渉猟の広さにあらためて驚く。深刻難解な詩はちょっと敬遠。

《 高野喜久雄「せめて」

    せめて 最後の思いやりに
    人と枯葉とを混ぜようと
    神様は
    風を吹かせたのでした

    だのに
    人は少しも枯葉を間違えることなく
    枯葉は枯葉でいつ迄も荒涼としている

 竹中郁「足どり」

    見知らぬ人の
    会釈をうけて
    こちらも丁重に会釈をかえした

    二人のあいだを
    ここちよい風がふいた

    二人は正反対の方角へあるいていった
    地球を一廻りして
    また出会うつもりの足どりだった

 扶川茂「再会」

    とある夜の海峡で
    地球の裏側から それそれ航行してきた
    二隻の貨物船が接触した

    あとにのこった非常に焦げくさい臭いが
    目覚めた乗組員の
    想像を刺激した
    ある者は
    魚を焼く匂いだと言い
    また ある者は
    花の腐った臭いだと言いはった

    だが 船はだまって
    再会の感動にひそかにふるえながら
    ふたたび
    それぞれの航路を去っていった

 藤富保男「風景」

    「窓を開けっぱなしにしておくと
     雲がはいって来ますよ」

    「けれど
     ヴァイオリンの中から
     蝶が一枚づづ
     とび散って行くからいいでしょう」

    「雲が
     とてもゴムくさいね」

    「ほら
     ごらんなさい
     あの遠い燈台の下の岩に
     黒い舌がはりついていますわ」

 和田徹三「狐」

    カタコンベへゆく途中で
    クオ・ヴァジス寺院の前を通った。

    きれいな女が むこうからきたので
    おれは 気どって聞いてみた。
    「クオ・ヴァジス?」
    「あぶらげを買いにさ。」

    女は 木の葉っぱを ニ、三枚見せた。
    おれも やつも 狐になっていた。   》

 とろろんとした春の陽気に見も心もぼんやり。ぼけの前兆じゃないよな。とりあえず体を動かさなくちゃ。 自転車でブックオフ函南店へ行く。何日ぶりかな。開店直後なので静か。というかスピーカーの声が虚しい。 本は虚しくなかった。梅崎春生『ウスバカ談義』番町書房1974年初版、後は文庫本を七冊。月原渉『太陽が死んだ日』 創元推理文庫2014年初版、中条省平文章読本』中公文庫2003年初版、七尾与史『すずらん通りベルサイユ書房』 光文社文庫2015年初版、平石貴樹『松谷警部と目黒の雨』創元推理文庫2013年初版、三輪一和音『強欲な羊』創元 推理文庫2015年2刷、矢崎存美『ぶたぶたのお医者さん』光文社文庫2014年初版、『江戸千代紙』青幻舎2002年初版、 計864円。この一冊は『松谷警部と目黒の雨』。『ぶたぶたのお医者さん』は贈呈用。

 午後友だちとお茶。上記の『江戸千代紙』を欲しいというので、贈呈。喜ぶ。友だちが帰りがけに寄る知人女性に 『ぶたぶたのお医者さん』を届けてくれるよう手渡す。帰宅すると雨。

 ネットの見聞。

《 官僚は、「カネを使うのが手柄」です。給料はたいした事はないんだが、それとは比較にならない大金を使う。 しかも、天下りには補助金という「お土産」を持参w カネを浪費したヤツが出世するという、 官僚のシステムを壊さない限り、借金は増え続ける。 》 野次馬
 http://my.shadowcity.jp/2016/04/post-9207.html

 ネットの拾いもの。

《 急にすっぽん食べたくなり、すっぽんのさばきかたを検索して眺めていたらうげげげとなって、 すっぽん食べたい衝動が治まりました。すっぽんつぶすのは私には無理のようです。仕事に戻ろう。 》

《 リーマン・ショック:サラリーマンがショックを受けること。 》

《 根しょうがでしょうが! 》