『天使の復讐』

 山田風太郎『天使の復讐』集英社文庫1997年初版を読んだ。六短編を収録。短いがゆえに 引き締まった文章、じつに濃密。最初の「狂風図」は、昭和二十五年の二月号の雑誌に発表。 よって書かれたのは前年だろう。舞台は敗戦前後。

《 冷たい掌をあずけたまま、娘は蒼穹の彼方に、幻の炎を見るように、じっと眼をみはって、 八月十五日直前の、あの物凄い叙事詩にも似た数日を頭によみがえらせていた。…… 》

 八月九日から敗戦までの数日間、長野県飯田市疎開していた医学生たちの、狂風に襲われたような 心理が劇的に描かれている。見事な起承転結だ。他の五篇も捻りが効いている。細谷正充の解説から。

《 人間関係は誤解の上に成り立つことが往々にしてあるが、その最たるものである”愛”を、 冷徹に解剖していく作者の手腕が鮮やかだ。 》

 愛というよりも愛欲と呼んだほうが相応しい、情欲の炎に絡め取られる男と女。さらっとした恋愛が 大勢らしい今世紀では見たことのない命がけの情と欲。時代はたしかに変わってゆく。

 体慣らしにブックオフ三島徳倉店へ自転車でいく。店までの長い上り道を休みなく上ってゆくのだけど、 途中で休憩が入ったら体力が衰えた証拠。まだ大丈夫。愛川晶『道具屋殺人事件』創元推理文庫2010年初版、 矢崎存美光文社文庫を三冊。『ぶたぶたの本屋さん』2014年初版、『ぶたぶたのおかわり!』2014年初版、 『学校のぶたぶた』2015年初版、計432円。

 それにしても(?)新刊で買いたい本が山積。定価三千円以上。困ったことだ。なので、こんなものを注文。 國枝史郎犯罪都市』補遺。三百円。『犯罪列車』未知谷は買っていないのに。いつか、本体も買うぞ〜。 で、ネット注文しちゃった。
 http://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca1/178/p-r-s/
 http://www.michitani.com/books/ISBN978-4-89642-394-5.html

 ネットの見聞。

《 福島原発事故から間もなく5年 廃炉遠い高線量 》 東京新聞
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201601/CK2016012602000122.html

《 80万人雇用はウソ…米大が試算「TPPで日本は7.4万人失業」 》 日刊ゲンダイ
 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/174073

 ネットの拾いもの。

《 店員「おたくの子が万引した。防犯カメラに証拠がある」
  少年「1週間以内に記憶を確認する」
  姉「この店、ゲスの極み」
  兄「録画かよ、罠を仕掛けられた」
  父「子供自らが説明責任を果たす」
  少年「父に迷惑かけた」
  妹「ドリルで壊す」
  店員「お前ら何言ってんの?」
  5人「自民党に学んだ」 》

《 甘利大臣
  「先方(建設業者)は最初から隠し録音をしたり写真を撮ることを目的とした人たちだ」
  自動速度取締機(オービス)で捕まったドライバー
  「設置した警察が悪い」
  防犯カメラに犯行が映った万引き犯
  「隠し撮りするほうがズルい」 》

《 あまりと言えば甘利だ 》

《 週刊現代、老人向けの、スマホ愛染恭子やトレーシー・ローズのエロ動画を見るには どうすればいいかを親切丁寧に教える特集記事が眩かった。 》