再読『「敗者」の精神史』四(閑人亭日録)

 山口昌男『「敗者」の精神史』岩波書店1995年初版の再読を進める。「5 敗者たちの生き方」を読んだ。

《 戊辰戦争で敗れた諸藩出身の人物が、藩閥軍閥の階層秩序から排除されたことは良く知られている。例えば東条英機の父英教も岩手藩の出身であったため、主流から 排除され、せいぜい陸大教官どまりの中将、理論家としての枠に閉じ込められる生涯を送った。このような場合、子弟の反応は一般的に、やや反体制の側に赴くか、逆に、 さらに体制に忠誠を尽くすことによって父祖の汚名をそそごうとする方向に赴く。東条英機の場合は後者の途を執った。そして、それは、昭和日本に破壊的な結末を与える こととなった。 》 173頁上段

《 新政府が成立すると京都府知事に長谷信篤という雲上人が任命されたが、府政の実権は木戸孝允の幕下植村正直の手中にあった。府政は長州閥の手中にあったのである。 京都府に人材を得なかったのと、薩長の尊皇の実体が覇権への執着にあったことを雄弁に語るものと言える。 》 186頁上段

《 府庁は、維新後、旧習の廃絶という方針から、正月の門松にも根付きの若松の使用を禁じ、年中行事の雛祭と五月の端午の節句(大将祭)も廃止を命じた。 》  191頁上段

《 さて、これまで負け派、東北同盟の諸藩の中からのさまざまに屈折した反応が、日本近代に独得の陰影を添えて来たことをたしかめてきた。 》 193頁下段

 「6 敗者たちへの想像力」を読んだ。

《 すでに見て来たように、戊辰戦争は、ある意味では、西日本と東日本との間の内戦であった。従って薩長閥による新政府には、徹底した東日本諸藩の痛めつけ、周縁化が 政策の基礎に据えられていた。 》 211頁上段

《 従って我々のたどってきた線は会津山本覚馬、八重子にはじまり(前章参照)、新島襄と土倉庄三郎を経て、川田順の交友圏を通して小倉正恒の線をたどり、さらに 巖谷小波─大橋新太郎を介して、長岡藩にルーツたどることができる博文館にたどりついた。(中略)これらはいずれも、薩長藩閥政府の秩序感覚に馴れ親しんだ感性 からは出て来ない近代日本へのかかわり合い方であり、それ故に「敗者」の精神史を貫く糸となるような関係または系譜であると言えるであろう。 》 217頁下段

 「7 明治出版界の光と闇──博文館の興亡」を読んだ。

《  何ごとにも例外はあるものだが、近代日本の支配的な出版という形式も、戊辰戦争における「負け派」の諸藩から出現していることは決して偶然とは言えないであろう。
  明治時代の出版界の雄といえば、人は誰しも博文館を思い浮かべる。 》 221頁

 段ボール箱から雑誌『文藝倶楽部』博文館、明治末の号を数冊取り出す。現在の週刊誌とほぼ同様の構成。巻頭には多色摺り木版画
  http://web.thn.jp/kbi/kutiee.htm
 つづいて日本各地の美人芸者の写真や名所写真。広告ページ。そして読み物。

《 たしかに、薩長が官界の枢要なポストを独占したのと対比するとき、博文館が藩閥と関係なく人材を登用して、結果においては、有用な人物を数多く社会に提供した ことは、今日の視点で言えばほとんど「文化産業」そのものの働きを、博文館が行っていたと言える。 》 233頁上段

 「8 青い目をした人形と赤い靴はいてた女の子の行方」を読んだ。

 午後三時、窓の外がずいぶん暗い。冬至か。雨。

 ネット、うろうろ。

《 三島駅のそば。富士山マークの標識が残るスナックがある。玄関左上に施されたアメーバのような意匠と右上の5本の装飾。意味はさっぱり分からないが 魅力的だ。どんな店内なんだろう。雰囲気からしてもう営業されてないだろうな。 》 ねむらー
  https://twitter.com/nemuraaaa/status/1208134587571785728

《 おれには三島まで電車で行く選択肢、普通はないけれどいいかもしれない。ちょっと歩いてみたらすごく面白い街だったから。楽寿園とか源平氏川沿いの遊歩道とか 三島大社など普通の観光地へは何度か行った事があったのでだいたい分かってるつもりだったがなんにも知らなかったんだな。 》 ねむらー
  https://twitter.com/nemuraaaa/status/1208138859860676608

 ふふふ。下記「カスな大人の微酒乱日記」でも画像が。三島駅南口ロータリーを渡って右手の小路を下ったところ。
  https://ameblo.jp/momojam0107/entry-12050202567.html

《 英エコノミスト誌の書評に突如、横溝正史の最初の長編「本陣殺人事件」が。今頃英訳が出たらしい。「もっとも知的な読者さえも困惑させる謎は最後に驚くべき 結末を迎える」と、絶賛。 》 佐藤景一
  https://twitter.com/satokeiichi/status/1208031014460641280

《  みなさん、おはようございます

  きょう12月22日は「冬至」。
  北半球では昼の時間が1年で最も短い日で、#ゆず湯に入ったり、かぼちゃ(なんきん)等の「ん」のつく物を食べて無病息災を祈る風習があります。

  この冬もぜひ元気に乗り越えたいですね 》 Yahoo! JAPAN(ヤフー)
  https://twitter.com/Yahoo_JAPAN_PR/status/1208507446970290176

《 カピバラ似の夫がニュースを見て「この時期は絵になるからって人間の都合でゆず湯に浸からせられるんだよね」ってカピバラ目線 》 ガパオたまか
  https://twitter.com/ogawatam/status/1208372468739477505

《 菅官房長官は「スポークスマン」ではなく「ウソーツクマン」。 》 m TAKANO
  https://twitter.com/mt3678mt/status/1208394799767838720

《  バブル期
  私をスキーに連れてって
  令和期
  総理を牢獄に連れて行って!! 》 ああ中央の若き日に
  https://twitter.com/jitsute_rayu/status/1208546142897635328

《 「日本が世界の真ん中」とかって古史古伝にようあるやつやな。 》 いかふえ
  https://twitter.com/ikafue/status/1208577048576286720