『社会的なものを組み直す』九(閑人亭日録)

 ブリュノ・ラトゥール『社会的なものを組み直す  アクターネットワーク理論入門』法政大学出版局2019年初版、「第 II 部 連関をたどり直せるようにする」、 「第一の手立て──グローバルなものをローカル化する」を読んだ。

《 近視眼的なANT研究者には、鋭いまなざしですべてを見通す観察者に勝る大きな長所がある。ANTの研究者は、取るに足らない浅はかな問いを発することができる のはもちろんのこと、そうした問いを口を揃えてどこまでも発することができるのだ。最初の留め金は、かなり素朴な問いを発することで得られるものである。つまりは、 「構造の影響は、実際には、どこで生み出されているのか」(構造はどこにあるのか)という問いである。 》 336頁

《 文化は、アクターの背後で密かに作用しているのではない。この至高の産物は、具体的な場所や施設で作られている。 》 337頁

《 つまり、「マクロな」場とは、種差的な痕跡をともなう何らかのメディアを介して他の多くの場と結びつけられている場のことなのである。 》 339頁

《 今や、以前にもましてはっきりと強調されるのは、さまざまな場所を連結させるあらゆる結びつき、あらゆる導管、あらゆる移送手段、あらゆる乗り物である。 》  339頁

《 構造を作り出す者は、誰であろうと、まったく異なる複数の参照フレームによって創り出される切れ目を乗り越えるために、小さな橋をかけようとしているのだ。 》  342頁

《 資本主義に焦点を合わせてはならず、トレーディング・ルームのスクリーンに釘付けになってもならない。結びつきに目を向けて、「アクター自身に従う」ことが 必要だ。 》 344頁

《 何かが「脱ローカル化」されるというのは、それが、ある場所からどこか別の場所へ送られることを意味しているのであって、ある場所からどこにもない場所に送られる ことを意味するものではない。「それが常識ではないのか?」──アリと同じく向こう見ずに足跡を追っていくANTはこうつぶやくのである。
  研究のどの段階でも、アクターを、ミクロとマクロのどちらかに位置づけるのではなく、どんなサイズのアクターについても、ローカルでありかつ他と結びついた場で 置き換えると決めれば、アクター-ネットワークをたどることができる。 》 345-346頁

《 こうした第一の陸標のカテゴリーを指し示す総称語として、オリゴプティコン(駅の改札口のように、狭いところに集中させて眺める場や仕組み)という語を用いる ことにしたい。 》 348頁

《 問題なのは、社会科学者が、研究を開始する前に設定する必要のある数々の変数のひとつとして、スケールを用いることである。  》 353頁

《 絶対的なフレームワークのなかで生きているという先入観を払底するのは容易ではないように見えるので、二種類目の人工的な留め金を考え出さなければならない。 》  354頁

《 私たちが成し遂げたいのは、あるフレームから別のフレームに移動することである。ここでも、社会的なものの社会学者は、十分に抽象的ではない。 》 358頁

《 そう、私は枠にはめられたくない! しかし、私が考えているのは、フレーミング(枠づけ)そのものを非常に注意深く研究することである。そうすることで、 フレーミングを、自動的に得られる資源ではなく魅力的な新たなトピックにすることができる。 》 359-360頁

《 「ゆっくり進め」に続く指示は、「飛躍するな」と「あらゆるものをフラットに保て」である。この三つの忠告は互いに強め合うものである。 》 366頁

 短い抜き書きでは何が何やら・・・。

 画家の上條陽子さんから来月、銀座・中和ギャラリーでの「ハコ絵3人展」の案内が届く。
 http://web.thn.jp/kbi/kamijo.htm
 http://www.chu-wa.com/
 書斎の本棚には1992年、池田二十世紀美術館の「上條陽子の世界」で展示された「コケシ群体」の一体(上條さんから恵まれた)が鎮座している。その横には 「ハコ絵3人展」のもう一人、大坪美穂さんから1990年代半ばに恵まれたカット絵。どちらも四半世紀余り見飽きない不思議な魅力。しかし、今回も行けない。

 ネット、うろうろ。

《 大日本印刷文化施設「本と活字館」 活版印刷と本作りの文化伝える 》 市ヶ谷経済新聞
https://ichigaya.keizai.biz/headline/3071/

《 作品鑑賞でも、社会的意義とかニンゲン性とかのレベルで「解釈」しようとすると〈添う〉になるけれど、生理学/生物学的に「身を沈める/重ねる」ように 観ていくと〈沿う〉になる。前者では、作品から「作者のメッセージ」を受けとろうとするのに対し、後者では、作品から「ヒトの無意識」を受けとる。 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1353753358687850497

《 藤圭子 https://youtu.be/YmmwcUi3p8M 60年代にすでに古い歌だった《星の流れに》は、野中ユリのような女性芸術家が歌うとき、詠嘆や諦観ではなく、ある強さ、 ある種のダンディズムの表現にもなった。多くの歌手がカヴァーしているが、そういう点でも藤圭子が随一だろう。軽く歌ってもソウルが届く。★ 》 巖谷國士
https://twitter.com/papi188920/status/1353310686210793473

《 思考にはつねに文脈がある。ネット上でも紙媒体でもそうで、ツイッターだから一個だけで切り取られても「仕方がない」と言われるのはおかしいと思う。 また、誤解を与えたら誤解を与えるのが悪いというのもこの間強まった発想だ。それもおかしい。ゆっくり読むこと。前後を読む。当たり前である。 》 千葉雅也
https://twitter.com/masayachiba/status/1353749796729757698

《 一体誰が?
  一体なぜ?
  責任はどこにある?
  どう責任を取る?

  政府はいつも通り記録の処分改竄隠蔽や『お答えは差し控える』答弁を駆使して逃げと誤魔化しを図るだろうが、 これは、国民全員で必ず明らかにしなければならない事だと思う 》 らび https://twitter.com/Jp3c5nUlUGZojKB/status/1353727529601830912

《 当たり前すぎることを言えば、購買力は人、労働力は人、人の生活が経済活動、人を粗末に扱えば社会や国全体が衰える。数字だけ誤魔化しても 実態が伴っていなければどこかで破綻する。こんな当たり前のことを理解できていないのが与党と政府。政治を任せられる人たちではない。命が脅かされている状況。 》  中林 香
https://twitter.com/kaokou11/status/1353646865229762561

《 なので、国会議員は、本当に国民のために働いてくれる人たちに入れ替えましょう。今度の選挙でも遅くはありません。 》 川上浩一
https://twitter.com/koichi_kawakami/status/1353785738379239425

《 今こそ菅総理、麻生副総理、二階幹事長で密室会談を 》