『吟遊星 11 加藤郁乎特例号』(閑人亭日録)

 主宰者の御沓幸正氏から恵まれた同人誌『吟遊星 No.11 加藤郁乎特例号』吟遊星団1980年8月15日発行を久しぶりに開く。巻頭エッセイ加藤郁乎「冬籠」に驚く。

《 早いときは宵の口、十時には寝てしまふ。過般、越沼正君の慫慂御好意により三島の鈴木氏が許の一誌に白隠禅師につき蕪文少々をしたヽめたが、白隠全集を繰る折ふし、 読書量読解力ともに人並み外れた禅師の大気にうたれ目を洗われつヽも、その細字難訓おびたゞしき連続行列に音をあげた。 》 4頁下段

 十時には寝てしまう。
 我が家の向かい、鰻の蒲焼きの老舗名店人気店桜家の先代から頼まれて、氏の個人誌への加藤氏の執筆依頼を奥さんと東京品川のご自宅へ伺った。快諾を得た。掲載された 個人誌は、本棚の上の段ボール箱にあるはず。『特例号』に私の拙作が掲載されていたとは。それも加藤郁乎氏の人選によるものとは。忘却の底に沈んでいた。 文字通り拙作だから。歳月は昭和~平成~令和と移り、ま、恥を開陳するのも一興か、と思い直した。

《  「献句」
   垂直に吾(あ)をば白鳥青の極
   切り株や斧づからまるぶんまわし
   幾矢発止一騎霊層の冬の海
   家系樹を踏み分け一喝龍ひこひこ
   草刈飛行器(ファルマン)もある宙返りのけつあたま
   出会ひとは旅人かへらずクレド行く
   異句屋ていっくに溺死すること二三遍
   異化の香は四季たつ沢の詩句らーめん
   はやく言うと借りなとも地の極南
   リラリラと蟹股の神らひとよぎり
   小栗山(こっくりさん)松籟や鴨が鷹なる  》

 挟まれた三枚の紙片には手書きの「献句」解題(出典)なる書き物。

《  切り株や斧づからまるぶんまわし
  英一蝶  おのずからいざよふ月のぶんまわし
       (加藤郁乎『江戸の風流人所収「英一蝶」』より)
  加藤郁乎 切株やあるくぎんなんぎんのよる  》

《  家系樹を踏み分け一喝龍ひこひこ
  加藤郁乎(渋沢龍彦への口寄せより)
   家系樹を踏める亜爾箇児の脚韻
  澁澤龍彦氏の本名はたつお郁乎氏の令息もたつお「うちのタツオがタツオが」と渋沢氏の前で言うとか。 》

 よくぞこんなことを考えたものだ。

 ネット、うろうろ。

《 時代映す、懐かしの広告マッチ かつて姫路に、数多くデザイン手掛けた画家がいた 》 神戸新聞NEXT
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202202/0015093396.shtml

《 Kerry James Marshall|Paintings
  https://jackshainman.com/artists/kerry_james_marshall 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1498412003928391680

《 「黒人作家のアートは、ながらく美的現象ではなく、一種の社会現象として捉えられてきました。アートは自己表現ではありません。 もし、あなたのそれが自己表現にすぎないなら、あなたが何をしているかではなく、あなたが誰であるかに価値を感じるオーディエンスが必要でしょう。」 Kerry James Marshall 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1498412058542428160

《 「故國雖大好戰必亡」という言葉を噛みしめている。 》 赤城毅/大木毅
https://twitter.com/akagitsuyoshi/status/1498503015770517506

《 これは正しい。リプ欄に小国化を小国と読み間違えたコメントがあるが、軍事増強を主張する人たちは日本の激烈な少子化と高齢化に目を閉ざしている。 一貫して少子化対策に失敗してきた保守自民党のツケがこういう形で出てるのを保守ウヨらは見たくないのだろう。 》 森岡正博
https://twitter.com/Sukuitohananika/status/1498499300216930304

《 ウクライナ情勢のなんでもかんでも軍備増強の要に結びつけたい人は、さっさと自衛隊に入るか、入るようにご家族を説得してください。離職率が高く、 いつも人手が不足しています。 》 津原泰水(やすみ)
https://twitter.com/tsuharayasumi/status/1498208016499621888

《 【緊急掲載】戦争という完全な悪に対峙する──ウクライナ侵攻に寄せて|ドミトリー・ブィコフ/奈倉有里編訳 》 note
https://note.com/iwanaminote/n/n3d5608b53e10