『二十一歳』「新宿」(閑人亭日録)

 二十一日。東君平『二十一歳 白と黒のうた』サンリオ一九七五年五月十日初版を再読。短い詩「白と黒のうた」にやはり惹かれる。

《  「白と黒のうた」
  ぼくのうた
  白と黒のうたは
  しろうとくろうのうたで
  素人苦労のうたと書きます  》

 東君平の白と黒の切り絵は、構成はじつに簡明、センスが光る。やたら緻密な切り絵が席巻しているようだが、私はうわっ、凄く細かいな、と感心はするけれど、それだけ。画面から緻密さ以外の何か、惹きつけられ、手元に置いてじっくり鑑賞したいと、欲望をかき立てられる切り絵ではない。東君平の切り絵は一見、誰でも真似できそうな印象を持つが、白と黒との塩梅、組み合わせがじつに上手くて、ユーモアがあり、何度でも見たくなる。素人苦労、とはなんという謙遜だろう。いつか東君平童話館を訪問したい。
 https://kunpei.net/
 もう一篇。月刊誌『詩とメルヘン』サンリオに掲載された詩「新宿(しんじゅく)」。掲載誌は倉庫に収めてあるので確認できないが、疲れて新宿をトボトボと歩いていたときの心境を描いたもの。この詩でとても励まされた。街灯の地名表記板の「新宿」を見上げて「しんじゆく(信じゆく)」と読み替える・・・。そこで使われた切り絵が「新宿 スマホケース」に。
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 黒い箱根山から現われた赤い満月。ルナ・ロッサ。妖しい満月。しばし見入ってしまう