味戸ケイコさんからお手紙(閑人亭日録)

 味戸ケイコさんからお手紙が届く。北海道立函館美術館で開催中の味戸ケイコ展
 https://artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp/hbj/exhibition/program/199
に合わせて、北海道新聞の、四回にわたるインタビュー記事のコピーが同封されている。一回目の記事から。

《 「潮かをる北の浜辺の砂山のかの浜薔薇よ今年も咲けるや」と石川啄木が歌った大森浜に、子どもでも歩いていける距離の千歳町というところに住んでいたので、よく遊びに行きました。
  海は果てしがなくどこまでも青くて、声も届かない遠くの沖までされわれてしまうようで、とても怖かった。ですが、じっと眺めていると水平線のさらに向こうには、私のまだ見たこともない世界や街があるような気がして、海は私を惹きつけるものであったのです。果てしのない場所への憧れ、見そうで見えない半透明の世界への憧れは、今もあの頃と変わらないままで、ずうっと私の作品の核になっているような気がします。 》

 良い記事だ。お手紙から。

《 絵筆を置いた時、絵は完成するのではなく
  絵を見つめ心にとどめてくださる方たちに
  よって完成するのだと思っているのです。 》

 深く同感。来年六月半ばに近所のギャラリー701でたった五日間開催する「味戸ケイコ つりたくにこ 二人展」へ思いがゆく。