「ぼくらの時代」

 栗本薫『ぼくらの時代』講談社1978年初版を読んだ。第24回江戸川乱歩賞受賞作。止まらない、一気読み。面白かった。テレビ局のスタジオで音楽番組の録画中に観客の女子高生が背中を刺されて死んだ。そして別の倉庫では彼女の女友だちが頭から血を流して死んでいた。それから新宿の貸し音楽スタジオでは「ぼくら」のバンド仲間の大学生が密室状態で拳銃で射殺された。それらをつなぐひとつの輪。不可能殺人にこめられた青春の悲痛な叫び。なんて書くと、ズレまくるなあ。大江健三郎『われらの時代』から遠く隔たった『ぼくらの時代』。栗本薫25歳の作。この前に読んだ西村京太郎45歳の『おれたちはブルースしか歌わない』1975年から三年後の発表。われら、おれたち、ぼくら。結末近く。

《 「ちょいとブルース・フィーリングだよな。いまギターひけりゃ、バアーンて、絶対あれやるンだけどな。『クライ・ベイビー』、ジャニス・ジョプリンの」 》

 この歌はよく聴いたが、今夜はライトニン・ホプキンズ LIGHTNIN' HOPKINS の『 LIGHTNIN' STRIKES 』をLPレコードで聴く。栗本薫、別名中島梓(1953年-2009年)。

 記憶が確かなら、栗本薫は1973年第19回江戸川乱歩賞の小峰元『アルキメデスは手を汚さない』を読んで、ぼくらの青春を描いてはいないと発奮して、『ぼくらの時代』を書いたと仄聞。それはともかく。『おれたちはブルースしか歌わない』の表紙絵は小林泰彦による五人のバンドの絵。『ぼくらの時代』は和田誠によるバンド仲間三人の絵。「おれたち」と「ぼくら」の違いが歴然。じつに面白い。

《 「ぼくだって名探偵に立候補しますよ。名探偵が多すぎるってことに、なるかもしませんけどね」 》

 西村京太郎『名探偵が多すぎる』1972年を連想させるわ。

 ブックオフ函南店へ自転車で行く。風が無くて気持ちよい。北森鴻『うさぎ幻化行』東京創元社2010年初版帯付175円、堀江敏幸『めぐらし屋』毎日新聞2007年初版、米澤穂信ふたりの距離の概算角川書店2010年初版帯付、泡坂妻夫『蚊取湖殺人事件』光文社文庫2005年2刷、尾崎紅葉金色夜叉新潮文庫2011年48刷、道尾秀介『花と流れ星』幻冬舎文庫2012年初版、計700円。

 ネットの見聞。

《 哲学古典は、読みやすさを追求した翻訳と、直訳風のものを二種類手元に用意して読み、引用したり論拠にするときには辞書を片手に原文を確認するというのが良いと思う。原文は、いまはたいがいWebで拾えるしね。 》 森岡正博

 そうまでして読もうとは思わないなあ。

 ネットの拾いもの。

《 このあいだ演習で使った古いファッション誌の記事に「美人局アナ」という見出しがあって、その版元には校閲者がおらんのかとうなってしもうたわ。 》