朝、友だちから電話。ジャスミンの花が開いてきたら、花粉症発症。外へ出した、と。
栗木京子歌集『綺羅』河出書房新社1994年を読んだ。
《 捨て印のごとき昼月うかびをりわが生は誰の楔でもなし 》
《 大いなる夜の繭ざくと切り剖(ひら)く刃はあり寒の稲妻ひかる 》
《 月かげの道あゆみ来てわれは銀ひとは碧(みどり)のしづくに濡れつ 》
《 身のうちの海に凪(なぎ)ある午後三時方位失せたる帆船うかぶ 》
《 雲疾(はや)き九月よ少女は少年と樹液のごとき言葉交はせり 》
《 濡れざればいつまでも雨気はらみゐて傘のうちがは胸のうらがは 》
《 絹張りの空の蒼さよ耳もとに少女は一生(ひとよ)の秘密告げくる 》
上記選出歌以外にも気になる短歌はある。
《 「甘い」とふ活字にしきりに会ひたくて初冬の開架書庫に入りゆく 》
「甘い」。意外と思いつかない。「甘い生活」「甘い吐息」くらい。
《 発禁書蒐(あつ)めし棚にたどりつく梅雨明けぬ夜の覚めきらぬ夢 》
発禁書に関する本はあるけど、そのものは持っていない。
《 美術館倉庫の闇へゆるゆると搬送車入る贋作よ育て 》
某画家から彼の贋作が出回っていると聞いた。同時代人の画家の絵なら贋作は、ある意味、楽にできる。先月は日本画家加山又造の贋作をつかまされた人の話が伝わってきた。
ブックオフ長泉店で二冊。村上春樹『風の歌を聴け』講談社1979年2刷、竹内玲子『爆笑ニューヨーク POWERFUL』講談社文庫2010年初版、計210円。