リズム、リズム

 昨日引用の大岡信の「「現代詩」の成立──「言語空間」論──」から。

《 イメージは対象物の不在によって成りたつものである。「言語空間」というとき、人が直観的に感じとる「空間」とは、つまりこのイメージの世界であろう。 それはすでに、肉眼に見え、肌で触知できる「現実の空間」ではなく、むしろその種の空間の不在によって成り立つ「虚の空間」である。 》

《 真や善から独立した「詩のための詩」は、その非日常的本質によって、言葉がよび起こす「虚の空間」の中にしか見出されない性質のものであろう。 それは言葉の実用的な用語を排させ、究極において「もの」としての言葉の自律的な世界へと、人を導いてゆく詩概念であろう。 》

《 言葉を「もの」に還元するということは、単なる物質に還元するということとはまったく違う性質のもので、むしろ、虚の空間をより純粋によび起こすための、 必要な還元作業にほかならない。 》

《 そして、実際、言葉を「言語空間」のより精密な構造的把握という立場でとらえるなら、「言葉の機能」にのみ集中する詩観の虚妄性は、言葉の構造自体に よって暴露されているといっていいであろう。 》

 昨日の流れから『詩の本 I 詩の原理』筑摩書房1967年初版1970年7刷収録、小野十三郎「詩のリズムの工夫」を読んだ。

《 やさしい言葉で音楽的なリズムに乗って書かれた歌ならば、それで通じるといったものでは現代の詩はない。韻の問題もここに位置づけなければ、 その韻の性質を動かし変えていくことが可能か不可能かというめどもつかないのだ。
  私が詩を書いているときのリズム感覚で云えば、詩のリズムというものは、流れるようなリズムではなく、かたまるようなリズムである。言葉の調子、 波動によって音楽のようには流れず、一箇の造型がうちに秘めているような凝縮したリズムだ。 》

《 私は、フルスピードで廻転している独楽が全量を一本の心棒にかけて静止いているときの力と力のつり合いほどみごとなものはないと思う。たとえて云えば、 廻転のピークにおいてこの独楽が示しているような力学を、私は自分が詩を書くときの言葉と言葉の関係の中に持ちこみたいのである。 》

 昨日までの夏とは打って変わって涼しい秋の気配の風。誘われて自転車で外出。途中知人の店に寄り無駄話。彼の車に同乗してブックオフ函南店へ。 文庫を三冊。阿部ショウ人『俳句 四合目からの出発』講談社学術文庫2004年31刷、津原泰水『ペニス』双葉文庫2004年初版、」ハンナ・ジェイミスン 『ガール・セヴン』文春文庫2016年初版、計324円。これでペニスとヴァギナが揃った。キャサリン・ブラックリッジ『ヴァギナ 女性器の文化史』河出書房新社 2006年4刷。これは河出文庫もある。この本の訳者藤田真利子にはマルク・ボバールほか『ペニスの文化史』作品社も。これは知らなかった。まあ、ペニスは 興味ないし。

 野菜果物の買いものは近所の大手スーパーを通り過ぎて、空き店舗をそのまま利用した昭和風の八百屋で済ませる。最近ご近所にも同様な店が開いた。 沼津市平町でも同様な八百屋が流行っている。新鮮で安いが売り。新しい流通経路ができたのだろうなのだろう。小売の逆襲を感じる。

   ネット、いろいろ。

《 中村雄二郎さん死去 91歳 哲学者「魔女ランダ考」 》 東京新聞
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201708/CK2017083102000141.html

 一月深沢幸雄、四月大岡信、八月中村雄二郎。私の畏敬する先達が……いい仕事をなさって逝く。合掌。

《 「宇宙」から「わたし」に打ち寄せる波がある。「わたし」から「宇宙」に打ち返す波がある。科学はなぜ、と聞いてはいけないと、 生物学者の長沼毅が教えてくれたが。 》 原研哉
 https://twitter.com/haraken_tokyo/status/903046171504947200

《 自閉スペクトラム症の人たちが「空気が読めない」と言われるのは、相手のリズムに同調せず、いつも自分のリズムで行動しているマイペースさからくると みなすこともできます。

  そして過剰同調性の人たちが「空気を読みすぎる」のは、自分のペースを捨て去って、その場その場の相手のリズムに完全に同調し、 相手のリズムを自分に取り入れてしまうからでしょう。

  最初に出てきた自閉症の人たちの独特なしゃべり方は、相手のリズムに同調しないことからくるとも考えられます。 》 自閉症はなぜ方言ではなく 共通語を話すのかーHSPの脳機能との違いを考察する
 https://susumu-akashi.com/2017/08/dialect-2/

 小野十三郎中村雄二郎原研哉ら、それぞれの人が「リズム」なるものに注目している。

《 日本農業に必要な種子の8割は輸入という。さらに米・麦・大豆の優良な種子の生産・普及は国の役割と定めていた種子法が、民間参入を阻害するとして 廃止された。今後はモンサントなどの多国籍企業に我々の主食までも委ねるのだ。F1なので毎年遺伝子組み替えの高い種を買わされる。対米従属極まれり。 》  鳩山由紀夫
 https://twitter.com/hatoyamayukio/status/903054137452937217

《 「グローバルな時代の小国の力」を再考すると、対中国や対北朝鮮における最大の国防とは「近代兵器」ではなく、実は柔軟性のある「風通しの良い社会」 ではないか、と個人的に考えています。 》 高城剛
 https://twitter.com/takashiro_bot_/status/903059229019299841

《 また、購入した本が重くて持ち帰るのが大変な場合は、オプションサービスとして、ホスト書店員が最寄りの駅や指定された場所まで 本を届けてくれるのだそうです。
  「佐川にする? それともオレにする?」なーんてささやかれちゃった日には、推さずにはいられませんよねぇ……! 》 ホストが店員として働く本屋が 歌舞伎町に誕生!! / Pouch
 http://youpouch.com/2017/08/29/455336/