『精神のフーガ』十(閑人亭日録)

 中村雄二郎『精神のフーガ 音楽の相のもとに』小学館2000年2刷、「第十四章 さえずる機械│ドゥルーズ&ガターリ」を読んだ。クレー『赤のフーガ』について。
 http://blog.livedoor.jp/a_delp/archives/1038583172.html

《 すなわち、ほかならぬ「赤のフーガ」において、絵画のリズムと音楽のリズムは結びつけられているのである。 》 306頁

《 だが、よきクレーの理解者たる作曲家ピエール・ブーレーズは、あまり直接にそこに音楽上のフーガの形式を見るべきではないとして、『クレーの絵と音楽』のなかで、 次のようにわれわれに注意を促している。
  この「赤のフーガ」において、「クレ-がフーガをモデルに採り上げた場合でも、それは音楽的な意味での一つのフーガを構成するためでは断じてなく、むしろ一枚の 絵に、フーガという音楽言語の基礎となっている一定のタイプの回帰や反復やヴァリエーションを改めて見出すためである」。 》 307-308頁

 クレーの絵は、ぐっと惹かれる作品(『秋の訪問(おとずれ)』)と、理が勝っていると感じられて惹かれない作品がある。

 「第十五章 音楽と哲学の数学の一致│ライプニッツとバッハ」を読んだ。その結び。

《 このようなわけで、膨大なバッハの作品中でも、ライプニッツの哲学・思想の世界ともっともよく通底しているのは、いずれも数的合理性と宇宙的象徴性との一体化の 極致たる《平均律クラヴィア曲集》第二巻、《音楽の捧げもの》《フーガの技法》など晩年の円熟期のものではないかと私には思われるのである。 》 356頁

 『平均律クラヴィア曲集』第二巻はレコード棚にリヒテルのレコード盤がある。聴きたくなる。それにしても、クラシック音楽の基礎知識は皆無に等しい我が身には、 文字通り門外漢を実感。けれども、こんなある意味アクロバティックな接続、比較が行なわれるのは、じつに興奮させられる。『精神のフーガ』読了。

 とても疲れると音楽を聴く気にならない。昨夜がそうだった。年上の美術家から請われて友だちとタクシーで行ったアトリエで新作を前にしばし話をし、彼の車で居酒屋へ。 ビールで口が軽くなり、この値段で売りたいが、誰かいないかなという話題に。居合わせた客が作品の写真を見て、話に乗ってきた。客に話をつなぎ、店を出た。帰宅。 ぐったり。早々と風呂へ。十時間睡眠。
 午前、晴天の下、腰切不動尊例大祭のお手伝い。新型コロナでお囃子などは中止。僧侶の読経。静かに終える。
 http://www.gwmishima.jp/modules/information/index.php?lid=2112&cid=38
 昼過ぎ、八百屋で多分今季最後のイチゴを買う。
 午後、車に同乗、沼津市のいずみ画荘で味戸ケイコさんの絵『寒い日』の新調された額を受けとる。先だっての『子どものころ戦争があった』と同額装。それがじつに合う。 本来の魅力が、観る人に十全に伝わる額装だ。他の絵も額を新調したくなる。
 http://web.thn.jp/kbi/ajie.htm

 ネット、うろうろ。

《 〈音楽自身が考える〉音楽や、〈絵自体が考える〉絵画や、〈踊りそのものが考える〉踊りにおいて、作者はその媒体 media にすぎず、まるでヤンチャな子猫を茫然と 眺めるように、自らの作品に置き去りにされる。この〈置き去り感〉は、「作品は企図によって制作される」と信じている人には伝わらない。 》 中島 智
 https://twitter.com/nakashima001/status/1265813282712981504

《 ときどき「美術ってなにかを造形で表現し、文学ってなにかを言葉で表現してるんだよね」とか「これは絵で表現してるけど、音楽でもよかったんだよね」といった 勘違いをしている人を見かけるけれど、メディアの〈なかで〉考えるという経験がないと、それぞれのメディアがもつ代替不可能性がわからない。 》 中島 智
 https://twitter.com/nakashima001/status/1265873781030969344

《 参院本会議で安倍首相、黒川氏の再調査を否定。「法務省で事実関係について必要な調査を行ったものと承知しており、再調査は必要ない」
  常習性を疑わせる新たな報道は不都合なので蓋をする。
  任命責任をどう果たすかという問いには、「任命責任は私にあります」とご飯論法。 》 山添 拓
 https://twitter.com/pioneertaku84/status/1266288033415827456

《 こんなでかい部屋で会議やって議事録を取ってないのはありえないし、記録を取らない科学もありえない。

  検証されたら困るから、責任逃れのために隠してるだけ。毎度おなじみの話、最低。

  コロナ専門家会議、議事録作らず 歴史的事態検証の妨げに:東京新聞 TOKYO Web 》 中野晃一
 https://twitter.com/knakano1970/status/1266109919406649344

《 しつこいけど、第2次補正予算予備費10兆円は国会に対する内閣のクーデタ。安倍政権は予備費さえあれば、秋の臨時国会も開かなくてもコロナ対策ができる。 徹底的に国会を冒瀆し、国会を無視する。与野党問わず国会議員が安倍政権に対してふざけるなと声を上げなければならない局面。 》 山口二郎
 https://twitter.com/260yamaguchi/status/1266356782324084736

《 コロナの年の5月末、この投げやりな景色はまさに時代の記録だ。 》 藤木TDC
 https://twitter.com/fujikiTDC/status/1266250104245112832

《 オンライン会議に子供を出して「パパ、いつまでこの会議やるの?」って子供の発言音声をそのまま流すってのは、サラリーマンの会議の歴史において類を見ない 強烈な圧力だな
  名前聞き忘れたな…あの子に感謝しないと(会議が今終わった) 》 Dante
 https://twitter.com/take4_fox/status/1266360759425986560

《 30代になってようやく気づく事として

  『俺はあまり大学生と変わらないと思っているけど、大学生は俺のことをオッサンだと思ってる』

  というのがある。 》 さいとう なおき
 https://twitter.com/_NaokiSaito/status/1266410800484282368