ものを売るのは難しい

 昨晩は男女七人で車二台に分乗、沼津市エスニック雑貨店へ行った。元々はエスニック料理店で、女主人がインド人と結婚してインドへ行ったため肉親がエスニック雑貨店に衣替えした。料理店の時はジャズピアニスト菅野邦彦のライヴがあったりして楽しかったが、閉店後は足が遠のいた。その彼女の里帰りを機に店を見に行った。用事が控えていた彼女は再会の挨拶だけをして出ていった。南米・アフリカ・エジプト・インドなど世界各地の雑貨が衣装箱にぎゅっと詰められ、棚に雑多に積まれている。宝箱を開けたり宝物を掘り出す気分だったけど、お宝!と感嘆するものは見つからず。コプト織りの古裂もあるけど、説明されなければただの布切れ。…… ものを売るのは難しい。

 鶴見和子「花道」藤原書店2000年を読んだ。

  国と国戦いしとき人と人生命(いのち)をかけて援(たす)けあいたる

  死後の眺めかくやと思う墨色の夜霧の底の青き灯火(ともしび)

  笑うこと死んでしまえばままならず笑っておこうこころゆくまで

  不愉快なことも半分生きているしるしと思い味わいつくす

 最後の歌の心境にはまだなれない青臭い私。短歌は俳句より七七=十四字の多さによって心情から思想までを定型三十一字に収めることができる器となった。そんなことをこの歌集であらためて感じた。しかし、この歌集を定価で買うことはしなかっただろう。105円だから購入。私に本を買わせるのは難しいぞお。