台風それた

 夜は豪雨だったのできょうの暴風雨を期待したのだけれど、曇天。途中で降られるのはイヤなのでバスに乗る。台風はそれたみたいで拍子抜け。昼からは青空がのぞく。

 ブックオフ長泉店で二冊。大岡信谷川俊太郎「新版 詩の誕生」思潮社2004年初版リーフレット帯付「大岡信」サイン入り、復刻版吉川英治全集月報「吉川英治とわたし」講談社1992年初版帯付、計210円。月報をまとめた本だと買ってしまう。

 昨日の最後の引用、そうそうそうだよなあ、だ。画家の自信作で私の感心したものはまずないといっていい。「真に重要なのは、創造者がそう意識しないで生れてきた作品なのであ」る。
 新作の個展で私が求めた絵を、画家が不思議そうに見ていることがままある。制作者と買い手では、美の判断基準がかなり異なっていると思う。私は、作家の主張は無視、これだけは買いたい!と切実に思った商品=作品だけを買っている。だから、必然的に美術コレクションに偏りはある。それでいいと思っている。私にとっての美の小宇宙なのだから、K美術館は。その基準をぶち壊すのが、来月に催される展覧会だ。次世代のために、一度は解体することによって新たな美の懐胎がもたらされれば、と願っている。
 それにしても子どもたちの反応がいい。興味深深で見ているので声をかけて中へ案内。大人は車で来るけど、子どもは自転車で来る。クチコミ効果?

 田中啓文(ひろふみ)「落下する緑 永見緋太郎の事件簿」東京創元社2005年読了。ウォーミングアップにちょうどよい短編集。ジャズ奏者が語り手の題名が緑、黄色、黒、青、赤、ピンク、褐色と、色ににからめたもの。ジャズ好きにはニッコリの短編集だ。どの短編の後にも「『大きなお世話』的参考レコード」ページがあって、三枚ずつ紹介さている。最後の紹介レコードは、山下洋輔トリオ「キアズマ」。
「おそらくある一時期、世界の頂点をきわめたはずのこのトリオの音楽こそ、私をフリージャズの冥府魔道にひきずりこんだ元凶である。」
「興奮、興奮、また興奮の大々々傑作である。」
 同感同感。台風と地震が一緒に来たようなものだ。