まったく難しい

 静岡新聞朝刊一面のコラム「大自在」に昨日重要文化財に指定された、掛川市の旧遠江報国社公会堂(大日本報徳社大講堂)の話題。この建物は1902年-1903年に資金を自力で調達して建設された木造二階建て。

「考えてみれば日本の近代化も西洋を手本に政府が民衆を引っ張った側面と、政府をあてにせず、民衆自身の意欲を推進力にした側面がある。生活の向上と農村の自立を目指す報徳運動も民衆の取り組む近代化運動だった」

 企画展示中の川瀬巴水、小原古邨、高橋松亭らを擁した新板画運動という商売がらみの運動も、版画商たちが政府に頼らず自力で生きる方途を切り開くひとつの方策だった。それはこのK美術館も同様。応援する人の力を借りながら自力でどこまで運営できるか。まったく難しい。どこかに打開策があるはずと願いつつ、その気の遠くなる困難にたじろぎ、今朝ブックオフ長泉店へ一時逃避。六冊も買う。逢坂剛「燃える地の果てに」文藝春秋1998年初版、三浦しをん秘密の花園」マガジンハウス2002年初版帯付、宮部みゆき名もなき毒幻冬舎2006年初版、クラフト・エヴィング商會「すぐそこの遠い場所」ちくま文庫2004年初版、小林信彦紳士同盟」扶桑社文庫2008年初版、山田風太郎かげろう忍法帖ちくま文庫2004年初版、計630 円。

 花壇に水を遣っていると電話。13日の講演が好評だったという知らせ。友だちからは「大丈夫」メール。人々の善意に支えられているK美術館。ありがたい。