一昨日の晩、Eテレの『日曜美術館』の特集「ジャクソン・ポロック」に違和感を覚えた。それほど優れた画家か?「ピカソを超えた」にはあきれた。ピカソは未だ賞味期限切れではない。ポロックは疾うに賞味期限が切れている。宇佐美圭司『20世紀美術』岩波新書1994年初版から。
《 一言でいえばポロックの絵画がヨーロッパの美的範疇を「強さ」によって超えたのである。今世紀の美術はさまざまなイズム独自の試行によって既成の美的範疇からの逸脱を企てた。戦後のアメリカが「強さ」によってその主導権をとったということであろう。ポロックの身体をかけた表現が、その先陣を切ることになったのである。》165頁
《 絵の具をあつかう技術からいえば、ドリッピング手法は児戯に等しい、拙劣なものである。》167頁
《 絵画がパフォーミング・アートのような一過性を持つに到ったといえばそれまでだが、次の世代へ伝承しえない技術レベルが、はたしてアートの名に値するであろうか。》170頁
目新しかっただけで、それ以上のものではなかった、ということが今世紀になって明らかになった、と私は考える。
美術館をやっていると、いろいろないただきものがある。きょうは五十年ほど前の月刊漫画雑誌の付録を八冊いただく。手塚治虫『ナンバーセブン』(1962年、『日の丸』7月号ふろく)、横山光輝『少年ロケット部隊』(1962年、『日の丸』7月号ふろく)、小沢さとる『海底戦隊』(1962年、『少年ブック』7月号ふろく)などなど。これは嬉しい。
知人女性は、三上延『ビブリア古書堂の事件帖 2』メディアワークス文庫2011年初版を貸してくださる。彼女、前作の古本ネタは、知識が無くてわからかなかった、というので、あれこれ教えてさしあげる(私のブログを読んでいないようだ)。