嘘/ほんとう

 昨日の芦辺拓裁判員法廷』の流れで、佐野洋検察審査会の午後』新潮文庫を読もうと開いたら付箋が貼ってある。読んだこともすっかり忘れている。付箋の箇所を読むと、かすかに記憶が。いや、それは模造記憶かもしれない。

 酷暑つづきなので、一番近いブックオフ長泉店へ行くだけの日々。夏枯れ。毎回手ぶら。古本屋ができるくらいに本があるのに、まだ買いたいのか、とあきれられるが、105円均一値段の古本を眺めている快感は、他では味わえない。金鉱脈を探す山師のようなもの。骨董ならば贋物を掴まされる恐れがあるけれど、ブックオフではそれはない。あいおうえお順、分野別に並んだ背文字を流しながら、本の内容についてとりとめのない空想が広がる。そしてきょうも手ぶら。

 午後雲が出て陽射しが翳ったのでブックオフ三島徳倉店へ自転車で行く。石井好子『東京の空の下オムレツのにおいは流れる』河出文庫2011年初版、ミステリー文学資料館・編『麺'Sミステリー倶楽部』光文社文庫2012年初版、計210円。ほっ。『麺'Sミステリー倶楽部』の解説で新保博久が書いている。

《 しかし、ラーメンとミステリーとは意外に相性がいいようだ。試みに、インターネットで「ラーメン ミステリー」と検索してみると、麺食いの推理読書日記といったブログが厖大にある。 》

 260万件。ありすぎ。

《 府中警察署付近でインコちゃん保護しました。とても人慣れしてます。お心当たりのある方、いらっしゃいましたらご連絡を。 》

 というツイッター記事。友だちのインコは住所を教え込まれているから大丈夫。と思ったら、時々勝手に編集している。こりゃ、イカン。

 田中啓文『忘却の船に流れは光』早川書房2003年初版、巻末にはこんな一文。

《 著者註──各章扉および巻末における「神曲」の引用は、集英社文庫ヘリテージシリーズ『神曲』ダンテ・アリギエーリ(寿岳文章訳)によるものです。出版元ならびに訳者に御礼申しあげます。 》

 「あとがき」から。

《 (ちなみに、この長いタイトル「忘却の船に流れは光」というのは、ダンテの『神曲』の一節からとったものである)。 》

 田中啓文ツイッター投稿。

《 あと、『忘却の船に流れは光』という小説を書いたとき、あとがきで「タイトルはダンテの『神曲』の一節からとった」と嘘を書いたら、雑誌の書評欄にそのとおりに載ってしまってあわてたり。 》 いかふえ

 「あとがき」がほんとうか「ツイッター」がほんとうか。

 知人女性にエチオピア音楽の最近のCD2枚を貸したら、「お借りしたCD、とっても良かったです。」とメールが届く。こう暑いと読書は無理無理。イスラエルシンガー・ソングライター、ヤスミン・レヴィ Yasmin Levy のCD『SENTIR』2009年をかける。 スパニッシュ系のセファルディの流れを汲む音楽。以前にも記したかもしれないけど、五曲目にレナード・コーエン Leonard Kohenの「HALLELUJAH(ハレルヤ)」。人気ある歌だ。凝った編曲だ。

 ネットの見聞。

《 今の世代がネットで古い音楽を聴き、その影響を受けていることについて、インタビュワーに問われたジム・オルークさんは「それは影響じゃないと思う。文脈がわからなければ、それはインフォメーションだけ、経験じゃない。インターネット世代の問題は、経験がないことだと思う」と答えている。 》

《 「日本が戦争で得たのは憲法だけだ」 》 城山三郎

《 盆踊りに参加してみて、そういえばなんで日本では学校で盆踊りでなくフォークダンスをやるのだろう、と調べて見たらやっぱり進駐軍の仕業だった。でも右翼の人が「アメリカに押しつけられた踊り」といっているのを聞かないね。 》 阿川大樹

《 フォークダンスで踊るマイムマイムはイスラエルの歌でシオニズム賛美の歌。それを日本の小中学校でみんなで踊るのはすごく異様なことだなあ。 》 阿川大樹

 ネットのうなずき。

《 東京ドーム○個分とか言われても東京ドーム、テレビでしか見たことないし…… 》