福島正実・編『SFロマン傑作選』旺文社文庫1984年初版を読んだ。九篇を収録。最初の小松左京 『ヤクトピア』は、題名から昨日の「ユートピア」のもじりだ。
《 おりしも、オートメーションの高度化と大普及が、全世界を一巡したころだった。── 超高級電子計算機の大量使用によるいわゆる「コンピュートピア」の時代が幕をあけ、「生きることは 機械にまかせ」ておける時代が、現実に到来していたことが、この新時代の開花に幸いした。
そして到来したのが、薬(ヤク)万能の時代……薬(ヤク)トピア!──この時代の果てしない万能性は ……。 》
《 「薬の時代」は、この新しい「情報薬」の大発展を中心に、それまで萠芽のあった、ありとあらゆる精神 制御剤の全面的発達の中に花開いた。 》
これまた昨日の「ユートピア」同様、住みたくない世界だ。今日を回想する場面が目を引いた。
《 ふと「薬書」がこの世に出現してくるまで、いったい人々はどんな具合にして本を読んだのだろうと、 不思議な気がしてきた。(中略)あの「文字」というこんがらがった記号を無限につらねて、一連の意味なり、 考えなり、論理なり、イメージなりをつたえようとしたものだ。文字の一つ一つが、おそろしく複雑な上に、 それをつなぎあわせた「単語」と、無数に単語をつらねた「文章」などというものは、あまりに複雑すぎ、 どう見ても、黒いでたらめな模様としか思えず、ぼくなど、ひと目見ただけで目がグラグラし、頭痛が 起こって卒倒してしまいそうだ。 》
矢野徹『おれは女だ』に「High School Girl? メーク女子高生のヒミツ」を連想。
https://www.youtube.com/watch?v=5n3Db6pMQ-8&feature=youtu.be
午後、静岡県の建築家協会の人たち三十人ほどを、源兵衛川、街中の建築物などへ案内。
ネットの見聞。
《 根本茂男の『柾它希家の人々』はもう見るからに呪物感滲み出る本だった。 》 竹本健治
https://twitter.com/takemootoo
『柾它希家(まさたけけ)の人々』を出版した冥草舎の故西岡武良氏を偲ぶ集まりが、近々 伊豆高原であると、一昨日耳にした。根本茂男氏には西岡氏のお宅で会っている記憶。挟み込みの 栞の、山室静の一文が今も記憶に鮮やか。
《 これは半産に終ったともいえる戦後文学の、その半産に終った名作の一つとしていいと思います。 》
西岡氏のことを松岡正剛が「死都ブリュージュ」で書いている。
http://1000ya.isis.ne.jp/0226.html
《 僕にとって書物は呪物だと教えてくれたのが講談社版『江戸川乱歩全集』であり、三一書房版『夢野久作全集』 『中井英夫作品集』であり、桃源社の「大ロマンの復活」シリーズだった。早川書房の『異色作家短編集』もそう。 のちの国書刊行会の『世界幻想文学大系』の嬉しいくらいの凶々しさったらw 》 竹本健治
重なるわ。どれも函入り本だ。
《 萌え絵で読む虚航船団 》
http://www.geocities.jp/kasuga399/oebi_kyokousendan1.html
《 オリンピック・パラリンピックは「スポーツの祭典」ではない 》 平野雅彦
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/2163.html
ネットの拾いもの。
《 まさか晋三は「消費税を2%上げると物価も2%上がる」と思っちゃいねえよな。思ってそうだが。 》