小林清親と井上安治(閑人亭日録)

 『江戸にフランス革命を!』青土社1989年初版収録、「安治と国芳──最初の詩人と最後の職人」続き。

《 明治になって、浮世絵というところでは、対象の変化と表現手段の変化と受け手の変化という、三つの変化が同時に起こる。現実は代わって行き、その現実を認識する 筈の人間の変化は、しかしその変化に対応はしない。そのずれが様々の変種を生むのだ。明治の浮世絵の変化を語ることは、ほとんど”現在の変化”を語って行くような ものだ。 》 344頁

《 小林清親(きよちか)という画家は、実に不思議な存在である。 》 345頁

《 小林清親は安治がデビューした次の年には、もう『東京名所絵」の筆を取らなくなっている。清親の、いってみれば寂し気のする風景画は、そのことを より一層鮮明にした安治に受け継がれていき、やがては安治も江戸以来の伝統的な風景画の世界、そして相変わらずあった派手な”開化絵”の世界の人になる。 》 372頁

《 小林清親の写生帖というのを見れば分かるけれども、この人の写生能力はすぐれている。しかし、この人はそうして拾い上げたスケッチをもとにして”絵(タブロー)” を作り上げる能力がないのだ。酷なことを言ってしまえば、この人の絵に”情感”はあっても、画家なる個性は存在しない。(中略)そして、井上安治は、この小林清親の 作品を、スケッチとして把握してしまったのである。 》 355-356頁

《 あまり言われないことだが、清親の絵を”絵”たらしめているのは、画面の中での背景の”人間ドラマ”を演じている人間の存在にある。別の言い方をしてしまえば、 清親の絵は、安藤広重の描いた”江戸情緒”の明治版なのだ。清親の描いたものの中には、広重の構図の流用というのはけっこうあるのだけれども、どうやら明治の素人画家 小林清親にとって、絵とは江戸の広重の描いた”情景”を”光と影”という三次元的な表現でとらえなおすことだったらしい。 》 356頁

《 勿論、清親だとてそうだ。彼は画中人物に”人生”なるドラマを演じさせたがっている──だがしかし、それがシロートだから、出来不出来がはなはなだしい。 》  358頁

《 ”孤独”というものは「寂しい……」と思う感情からしか生まれないのかもしれないが、それが生まれてしまえば、”近代”である。近代は「寂しい……」と思う感情 を持つことが人間に許された時代なのである。 》 361頁

《 井上安治は、作品の中にありうべきドラマを描かず、へたをすれば「寂しい……」と言い出しかねない”風景”だけをそのまんま描いた。 》 362頁
  http://web.thn.jp/kbi/yasuji.htm

 小林清親、どこがいいのかわからないが、井上安治にはぐっと惹かれる。その理由がやっと腑に落ちた。所蔵の美術本では語られなかったこと。

 雨の暗い朝。十時間ほど寝たけど、まだ起きたくない、起きるしかない。
 昨日千葉の従妹にクロネコで送った荷物がもう(十時)着いたとメール。早。
 午後、大学院生が修士論文の源兵衛川の調査のまとめで、数か月前に続いて来訪。四時間話す。
 ネットでぶらぶら。行ってみたい喫茶店、日帰り風呂、ラブホテル・・・。きりがない。

 ネット、うろうろ。

《  ‏1月18日7時54分現在、(主)熱海箱根峠線(熱海峠付近)の降雪状況です。
  通行時には、冬用タイヤやチェーンの着装をお願いします。 》 沼津土木情報発信隊
  https://twitter.com/shizuoka_numado/status/1218316654678929410

《  今年の芸大卒展は、面白かったです。
  おととしまでは、ブルースナウマンのような文明のどん詰まり感を作品化した様式の延長線上であったが、今年は完全に底が抜けて、フレッシュで素晴らしい。 死にそうではなく、死んでるんだ、ポスト終焉です。
  新中世の美しさです。画像は山縣瑠衣さん。 》 なます えちえち よしひで
  https://twitter.com/ynamasu/status/1218361488584241152

《 「刻まれた言葉、身体感覚、見る行為を、インスタレーションで検証する」藝大生インタビュー2019|油画・学部4年 山縣瑠衣さん 》 とびらプロジェクト
  https://tobira-project.info/blog/2019_yamagata.html

《 (2)私の世代までは村上隆氏らが頂点を築いたような芸大の輝きが、終わりかけてゆく、死にそうなんだ、高度経済成長の日が沈みかけてゆくその斜陽のつまらなさが ありましたが、終わった後の、ポスト死んだ後の芸大は豊かです。内海拓の作品は、ポスト終焉のフレッシュさのある傑作だと思った。 》 なます えちえち よしひで
  https://twitter.com/ynamasu/status/1218363277391978497

《 (3)龍村景一の作品も良かった。今年の芸大卒展はひとつのターニングポイントで、新しい美術の息吹を感じるたいへん楽しいものであった。 》 なます えちえち よしひで
  https://twitter.com/ynamasu/status/1218364444448714752

《 「表現の自由」は誰のもの?—— 欽定:戦後民主主義——  /せら(塩野谷恭輔) 》 note
  https://note.com/seraphim1925/n/n827c0f0c316f?fbclid=IwAR3KivH2b-5A_cxQmG3jkXWNFTopSArrxVpCP3Y4vH7EHFIlbUwDUeiGD4I#93omD

《 それゆえに、諸先輩が指摘してきたように、出版とは運動であり、闘争である。思想の上下左右に関係なく、出版とは文化をめぐる無限戦争への否応ない参入なのだ。 生を賭けた、死に物狂いの祭であり、忘却と消滅を厭わない遊戯だ。手にしたたいまつがいずれ身体に燃え移り、自ら輝いて燃え落ちるまでの。 》 ウラゲツ
  https://twitter.com/uragetsu/status/1218124311103279105

《  坪内祐三というと傍点だが、ネット媒体ではできないので、紙媒体でこその技法と言える。

  週刊新潮の見出しの「」、西岡研介のヤクザ聞書の()、笠原和夫の「……!」、そして坪内祐三の傍点、「文章読本」には載っていない文章術。 》 urbansea
  https://twitter.com/urbansea/status/1218149326427324416

《 そうだよね!「安倍総理、またも違憲発言」くらい書いたらどうだ、といつも思う。 》 きゃろる(せんそうはいやよ)
  https://twitter.com/carolitoh/status/1218079238227546112

《 安田純平さんの奇策、外務省を追い詰める―パスポート発給拒否の法的根拠が崩壊 》 志葉玲
  https://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/

《 鯉に触りたい猫 》 もふねこ同好会
  https://twitter.com/mofnekoclub/status/1217803736510132224