永川玲二『ことばの政治学』筑摩書房1979年初版、昨日触れた最後のエッセイ「〈ほんやく文化〉の悲惨と栄光」の補足というか、ぐっと来た箇所。このエッセイの 副題は「──グロータス神父への公開状──」。
《 私は「誤訳」を買ってきて一気に通読しました。そしてあなたに公開状を書く書く決心をしました。 》 249頁
《 イーブリン・ウォーの小説、とくに「黒いいたずら」は私の愛読書のひとつですし、筋書きや場面もかなりよく覚えています。だからこそ吉田健一氏の〈誤訳〉が実は 名訳でえあることに気づいたのですが、残念ながらウォーは日本ではあまり知られていない作家です。その結果、派手な議論にばかり気をとられて、「誤訳」という一冊の 書物が提起したもっとも深刻な問題──理想的な環境で習得した言語能力がいかに浅薄なものであるか──を見おとしてしまうかもしれません。 》 250頁
《 文学作品を翻訳するとき、分析によって達しうる〈名訳〉には限度があります。ひとつひとつの言いまわしが無限の陰影をはらんでいるし、その全体をどこまで とらえうるかは感受性のみずみずしさと、幸福な偶然によってきまるでしょう。「黒いいたずら」の場合には作者と訳者と、それぞれの気質や人間観の奥深い部分に、 うらやましいほど幸福な一致があった。 》 253頁
《 〈逃亡者たちを批難する最後の八語は無関係なことの書き入れですね〉とでもやれば、あなたのお気に召したかもしれない。すくなくとも「誤訳」と題した煽情的な 書物の巻頭で、さらし首にはなさらないでしょう。たしかにどこもまちがっていません。ただイーヴリン・ウォーという軽妙にして優雅な芸術家とは、まったく無縁な 文章になった。
「黒いいたずら」の〈誤訳〉の例を、ほかにあなたは五つならべました。いずれもおなじ種類の早合点です。訳者は大局を見とおしたうえで、辞書にある訳語などに こだわらないで、作者の言わんとするところを端的に読者に伝えようとしている。あなたは局部だけ覗きこんで、見たいと思っていたものをいたるところに発見する。これは 外国語がやっと面白くなりかけた段階の高校生が、教師の〈誤訳〉の摘発をこころみてときどき犯す種類のまちがいです。 》 254頁
胸のすく反論だ。管見では永川玲二の反論の記事がネットに見当たらない。『誤訳』を持ち上げる記事が目立つ。
ネット、うろうろ。
《 SEALsが壁を乗り越える方法。 》 sato_kurumi（改）
https://twitter.com/25bravofox3/status/1327426470659059714
《 マイナンバーカードと健康保険証を一体にするため、保険証を発行停止に。自民が提言
マイナンバー制度の所管も、総務省からデジタル庁に移し、デジタル庁を内閣直属の組織に
――危ないなあ。公安警察を抱え込んだ菅官邸が、国民の個人情報を一気にデジタル管理＆掌握する企みだ 》 盛田隆二
https://twitter.com/product1954/status/1328122545158033409
《 「個人情報を国に管理されるのを嫌がる人は、知られたらまずい事でもあるの？」的リプがちらほら
でもね、NHK有馬氏が「国民は任命拒否の説明が欲しい」と穏やかに聞いただけで「国民に説明できる事とできない事がある」とキレてしまう菅首相に一括管理されるのは 危険ですよ 》 盛田隆二
https://twitter.com/product1954/status/1328140163210383360
《 テレビ出演で机を叩く総理大臣は初めて見たかも。パワハラ体質のクセが出てしまっている。 》 渡辺輝人
https://twitter.com/nabeteru1Q78/status/1328091216488001536
《 何ィ？「GoToを使うかは皆さまの判断」だとゥ。おい西村コロナ担当相、起きてて寝惚けると承知しねえぞ。収束後のはずのGoToを前倒しで強行したことを忘れたか。 ろくな補償もせず、またも責任を国民に押し付けようってのは保身バレバレじゃねえか。それより第2波第3波の給付金を早く配ることを考えろ。 》 立川談四楼
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1327826947204739074
《 本来は「新型コロナ感染の収束後にやるはずだったGoToトラベル」を、収束前に始めてしまったことが、そもそもの戦略ミスだった。
だが、無謬に固執する指導部は戦略ミスを認めない。
事態がうまく進展しないのは「各人の心掛けが良くないから」。兵站などの物理的裏付けなく、精神力で対処せよという。 》 山崎 雅弘
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1327878735865909248
