『生ける物質』三(閑人亭日録)

 米田翼『生ける物質』青土社2022年6月10日初版、「第四章 ミクロな世界で蠢く生物たちの自由──個体性と行動の問題」を読んだ。

《  以下では、本章の結びとして、個体性・行動・老化・遺伝の関係を整理することにしたい。
  1 個体性と行動:まずは、これまで見てきた個体性に関する規定と、感覚-運動システムという新たに付加した規定との関係を明確にしよう。 (さしあたり通時的規定は考慮しない)。個体とは、解剖学的基準(諸部分の異質性)と生理学的基準(諸部分が担う機能の多様性と相互補完的連携)を同時に満たす 複合的対象である。(引用者・略)つまり、〈個体とは解剖学的基準と生理学的基準を同時に満たす感覚-運動システムである〉というのが、個体性の正確な定義である。 なお、感覚-運動システムであるというのは、物質に対して特定の仕方で働きかけるということを含意する。 》 171-172頁

《 2 個体性、老化、遺伝:(引用者・略)例えば、老化・成長とは、個体が「形態変化の[……]連続」であるということを示唆する生命現象である。 そして、遺伝は、そうした連続的な形態変化の過程が、単一の個体にとどまるのではなく、世代を超えて継続していることを示唆する生命現象である。 》 172頁

《 3 個体性、行動、老化、遺伝:右記の1と2を合わせると、次のように考えることができるだろう。有機体の現在の状態は、直近の原因 (外的諸条件)だけでなく、個体派生要因と系統発生要因によって決定される。そして、有機体の行動は、こうして決定される状態の影響を生ける、と。 》 172頁

《 4 行動の多重因果性:さて、こうした説明は、私の見るところ、現代の行動生物学や比較心理学において、しばしば「行動の多重因果性」と呼ばれる アイデアにきわめて近い。 》 173頁

 「第五章 適応と再認──種レベルの習慣形成の運動としての組織化・個体化」を読んだ。

《 しかしながら、私の見るところ、ベルクソンは進化の説明から適応概念を完全に排除しているわけではなく、適応概念を鋳直そうとしている。ベルクソンにとって、 真の意味での適応は、受動的なものではなく、能動的なものである。適応が能動的であるというのは、生物が自らの環境と対峙するなかで、独自の問題を設定し、その問題を 解決するような仕方で、何らかの新たな行動様式・生存様式を発明することにほかならない。能動的な適応、それは発明なのだ。
  では、そのような適応を可能とする条件は何か。生物は目の前の環境に受動的に従うだけでなく、環境に能動的に働きかけるために過去を利用する。ただし、過去を 利用する適応の成立機序について『創造的進化』で詳細な説明が与えられることはない。そこで私は、『物質と記憶』の再認をめぐる議論に遡行してみたい。再認とは、 我々の心的活動において、過去(記憶)と現在(知覚)が結びつく現場であり、再認こそが適応の成立機序に相当するからだ。
  本章では、『創造的進化』における適応概念を、『物質と記憶』における再認をめぐる議論と結びつけて理解することで、組織化・個体化の内実を確定することを 目指す。 》 176-177頁

 以下、議論が展開される。

 梅雨明け。暑い。33.9℃。エアコンは稼働させず。
 東京新聞第一面見出し「電力逼迫 初の注意報」。他のメディアでは「ひっ迫」。これでは迫力がない。逼迫でなくては。

 ネット、うろうろ。

《 何か手のひらに収まるような美しい、硬質でしっかりした造型の何かが欲しい気がする。できればひんやりした。世の中の全体が混乱している反動かも知れない。 》  清水高志
https://twitter.com/omnivalence/status/1541047380648525827

 北一明の茶碗。

《 サスティナブル時代が生んた「空箱職人はるきる」を君は知っているか?! 》 goo いまトピ
https://ima.goo.ne.jp/column/article/10399.html
https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/archives/22/harukiru/

《 先日、僅差で杉並区長選を勝ち抜いた岸本聡子さんの『水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと』(集英社新書、2020年)。
  白井聡さんが同年に書評を書いていらっしゃいました。 》 上西充子
https://twitter.com/mu0283/status/1541213860245688320

《 自民・茂木幹事長「消費税減税すれば、年金3割カットになる」

  いや減税しなくても、つい先日、年金減額したじゃないか。安倍氏は「マクロ経済スライドで年金は100年安心」と胸を張り、年金カット法で「年金と現役世代の 賃金下落」を連動
  ⇒アベノミクスで賃金減+円安誘導で物価高+年金減額=三重苦だ 》 盛田隆二 💙💛
https://twitter.com/product1954/status/1541212213817786368

《 #日曜討論
  自民党の茂木幹事長が「消費税を下げると年金3割カットすることになる」といったとのことですが、消費税増税しても、年金カットしているのですが。

  そして安倍政権がおこなった法人税減税や富裕層減税を見直せば、年金の財源を確保しながら、消費税減税はできます。 》 宮本徹
https://twitter.com/miyamototooru/status/1540916904843710464

《 貧困問題に取り組まない政治家はいらない!~「生活保護基準」「水際作戦」「扶養照会」に関する各党の公約を検証する
  http://inabatsuyoshi.net/2022/06/26/3846

  生活保護に関する論点は様々ありますが、特に生活困窮者支援の現場で問題になることの多い3点に絞って各党の公約を調べました。拡散にご協力ください。 》  稲葉剛
https://twitter.com/inabatsuyoshi/status/1540949809917440006

《 信念なき指導者に「聞く耳」は存在しない。

  岸田文雄という政治家の特徴は、敵を作らないように発言の修正を繰り返し、大きな反発を受けないようスタンスを変えて行く点にある。
  とにかく信念やビジョンの一貫性はなく、常にブレ続ける。<ブレることだけはブレない>というのが岸田首相の本質なのだ。 》 中島岳志
https://twitter.com/nakajima1975/status/1540895304601706496

《 丸山眞男が日本人の特性として「絶えずきょろきょろして、新たに到来する現実に必死に適応する態度においてはみじんのゆらぎもなく首尾一貫している」ことを 挙げていましたけれど、この定義を準用すれば「純正日本人」だということですね。なるほど。 》 内田樹
https://twitter.com/levinassien/status/1540896736574447617

《 「エロティシズム」はエロティシズムであって、安易に「エロス」などと言う言葉に置き換えられるものではないと頑なに思っている。 》 マキエマキ
https://twitter.com/makiemaki50/status/1540896823204024321