『たまさか人形堂それから』(閑人亭日録)

 津原泰水『たまさか人形堂それから』文春文庫2016年2月10日第1刷を読んだ。『たまさか人形堂物語』の続編。五篇を収録。堪能。これは良い短篇集だ。 創元推理文庫で7月に再刊されたのもわかる。「六 戯曲 まさかの人形館」が追加されている。
 http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488469054
 引用したい文がどれにもあって困るが、「小田巻姫」から。

《 「あの方を基準にしたら私のギターなんて、触ったことがあるという程度です。それでも久々に、うちの安物の絃を張り替えてやろうかという気になりました。 優れた芸は、人の心に張りを持たせてくれます。」 》 128頁

《 彼は吐息を隠さなかった。「ジョンスコは、ボルトとナットといった幾何学立体の、単純な組合わせに過ぎない。なのにちゃんとヒトガタなんだ。みごとに現実を象 (かたど)っている。一方で僕が作ってきたものは、どれも人形の人形。なんとか人形っぽく見せようとして、お約束の塊(かたまり)に、つまり借り物の寄せ集めになって しまっている。」 》 130頁
 ジョンスコ=ジョン・スコフィールド。ギタリスト。
 https://www.universal-music.co.jp/john-scofield/

《 「あんなふうに美の限界に挑むなんて、僕にはとても無理だね。気持ちのうえではやってみたくても、身体が付いていかない。まえに教えなかったっけ。」 》 131頁 

《 ところどころにスポットライトが壁の額縁を照らしている。日本の絹絵や版画ばかりだったが、重厚な風景画の前を通り過ぎたかと思えば、次に現れるのは寝姿の女性が 描かれた浮世絵だったりして、あまり統一感はない。 》 141-142頁

《 なにもかも見通していながら、なにも目に入っていないような、この眼差し。一切を語り尽くして疲れ果てたような、紅い唇と、頬から顎にかけての柔らかい凹凸……。  》 146頁

 巻末の「跋」から。

《 金子画伯の死は本当に突然でした。彼の複数の本を監修中、書店でのトークショウも予定されていた僕は、今にしてまるで冷静ではなかったと感じます。「こういう時は 焦っちゃ駄目。ゆっくりゆっくりとね、津原さん」と四谷氏は自らの悲しみを怺(こら)えつつ僕に仰いました。 》 231頁
 金子=金子國義。画家。   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%AD%90%E5%9C%8B%E7%BE%A9
 四谷=四谷シモン。人形作家。
 https://bijutsutecho.com/artists/1122
 状況劇場での俳優四谷シモンは妖艶だった。

 昨日電話で話した戸田ヒロコ女史から飯田市関連のパンフレットがどっさり届く。各界の有名人(?)がかなり紹介されているが、北一明の記述はない。生家は今、 どうなっているんだろう。それにしても、観光、誘致のすごい熱意にたじろぐ。三島市はえらい違いだ。やはり三島はテレビ東京の『出没!アド街ック天国』の冒頭紹介、 ”熱海と沼津に挟まれた地味な街、三島”だ。

 ネット、うろうろ。

《 現代アートかと思ったら、紀元前2800年とか出てきて、色々と考えてしまった。 》 小野俊太郎
https://twitter.com/tritonnova/status/1577688262205837313

《 これは、「ソドムとゴモラ」の起源のひとつとして斯界を賑わせたオーストリアへの隕石落下の根拠とされるシュメールの粘土板。仮説の是非は別にして、 シュメール人が詳細な記録を残していたことに驚く。https://conservapedia.com/K%C3%B6fels_Impact_Event 》 小野俊太郎
https://twitter.com/tritonnova/status/1578174810554654720

《 「現代における解釈は、たいていの場合、芸術作品をあるがままに放っておきたがらない俗物根性にすぎない。本物の芸術はわれわれの神経を不安にする力を持っている。 だから、解釈することによって、芸術作品を飼い馴らす。解釈は芸術を手におえるもの、気安いものにする。」スーザン・ソンタグ 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1577867887049510912

《 「わたしの仕事の仕方は画家のそれです。画家たちはたいてい、どこかある箇所から描きはじめ、そうすると描く作業中になにかが生まれてくる。それはときに、 もともと描こうと思っていたことよりも遙かに重要だったりするのです。執筆中に生まれるものに耳を傾けなくてはならない。」ミヒャエル・エンデ 》 中島 智
https://twitter.com/nakashima001/status/1578035581220634624

《 『孤独のグルメ』の谷口ジローが描いた、とある50歳のグラフィックデザイナーが、23年前に別れた娘と「再会」する話(1/7) 》 谷口ジローコレクション【公式】
https://twitter.com/inu_wo_kau/status/1576920626086162433

《 「ネット右翼でした」 沖縄に暮らし、記者になって思うこと

  「反対運動が行われている高江の現場に足を運んだ。あわよくば、座り込みをしている人たちの考えを論破してやろうという思いもあった」

  ネトウヨから琉球新報へ……こういう人もいるのか。良記事。 》 七尾旅人
https://twitter.com/tavito_net/status/1577885856953954304

《 国会で「政策議論」より「閣僚の不祥事追及」が優先される理由。

  考えてみてください。
  学校の担任の先生が、犯罪疑惑やセクハラ疑惑があったり、カルト宗教と付き合いがあったら怖いでしょ。まずはそれを追及するでしょ。

  「疑惑の追及より授業が優先だ」など誰も言いません。

  政治も同じです。 》 Dr.ナイフ
https://twitter.com/knife900/status/1577959341268692992